営業の属人化を解消する3つの方法。企業が陥りがちな属人化の対処法を解説

営業チームがしばしば抱える問題のひとつに、営業成績に大きな個人差があることが挙げられます。取り扱っている商材は基本的に同じはずなのに、なぜ担当者によってこうも成績に差が出てしまうのでしょうか。

本記事では、この問題の原因となる「営業の属人化」について、その概要や原因・影響、そして属人化の解消方法を解説します。本記事を読むことで、営業の属人化に関する基本知識と対策を身につけ、営業チーム全体の成績を伸ばすヒントが得られます。

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INDEX目次

1.営業の属人化とは

営業の属人化とは、営業活動に関する情報がチームに共有されることなく、担当者個人に依存した形で業務が行われている状態を指します。ここでいう「情報」とは、営業活動の進捗状況や顧客・取引先に関する情報はもちろん、成果を出すために有用なスキルやノウハウも含みます。

以下のような兆候がある場合、営業が属人化している可能性が高いです

  • 各担当者がどのように営業活動(顧客対応)をしているのかブラックボックス化している
  • 営業成果がエースの活躍に依存している
  • あの人に聞かないとわからない
  • あの人がいないと業務が回らない

このような属人化が生じると、組織全体で安定した成果を出せなくなったり、情報共有の不備からトラブルが生じたりと、さまざまな問題が生じやすくなります。

よって、営業組織として「特定の人がいなくなっても困らない」状態を目指していく必要です。これには、「トップ営業マンがいなくてもうまくいく状態を作る」という組織作りが重要です。この取り組みをすすめることで、組織全体での情報共有や業務の標準化が進み、属人化を防ぐことができます。

2.営業の属人化が起きてしまう原因3選

営業の属人化が進行する主な原因として以下の3つが挙げられます。

  • 情報共有の仕組みや営業プロセスが整備されておらず、個々人が分断されている
  • 営業プロセスが標準化されていないため、担当者ごとに異なる方法で業務が行われる
  • チームとして協力する意識が欠如している

2-1.情報やノウハウを共有する方法がない

属人化が生じる大きな原因のひとつが、業務に必要な情報・ノウハウを共有する方法や機会がないことです。具体的には、以下のような状況が挙げられます。

  • 営業日報の提出など、情報共有やタスク管理に関するルールや仕組みが整備されていない
  • 顧客データを担当者が個々人で管理している
  • ミーティングや研修が疎かになっている

このような状況だと、営業活動に関する情報やノウハウが組織全体で活かせないため、属人化が起こりやすくなります。新人の教育や業務の引き継ぎが困難になるという点でも、これは大きな問題です。

2-2.営業プロセスが標準化されていない

営業プロセスが標準化されていないことも属人化の原因です。どのような方法や指針に従って営業活動をすればいいのかが組織内で定まっておらず、担当者個々人の方法や裁量に依拠して業務が行われている状態を指します。各担当者が別個に営業活動を行えば、その成果にもばらつきが生じやすくなるのは必然です。その結果、営業成績に大きな個人差が生じ、一部の担当者に負担がかかったり、依存してしまったりします。

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参考記事:セールスイネーブルメントとは?

2-3.チームとして業務に当たる意識が欠けている

属人化の原因を考えるにあたっては、組織の風土や個々人の意識に問題がないか考えることも重要です。たとえば、営業部門では一般的に営業成績がインセンティブの支給や出世・昇給に大きく関わるため、担当者間の競争意識が非常に強いことも珍しくありません。

しかし、競争意識が強すぎると、他の担当者に営業成績を抜かれないために、自分の強みとなる情報を出し惜しみする心理が生じがちです。その結果、チーム内に有用な情報やノウハウが蓄積されず、属人化が進行してしまいます。

また、個々の担当者が自分の成績だけに集中するあまり、チーム全体の目標やビジョンを共有する意識が希薄になることも問題です。組織として業務に取り組む意識が欠如すると、連携が不足し、情報の共有や相互サポートが不十分になりがちです。こうした状況では、属人化が進行するだけでなく、チームのパフォーマンス全体が低下し、組織全体の成果にも悪影響を及ぼします。

3.営業の属人化で引き起こされる影響3選

営業の属人化は、「マネジメントを困難にする」「一貫した組織的対応ができなくなる」「組織にノウハウが蓄積されない」といった悪影響をもたらします。

3-1.営業活動の管理が難しくなる

属人化が進むと、各担当者がどのように営業活動を進めているのか不透明になりがちです。それにより、管理者は個々の担当者や案件の状況を把握できなくなり、必要なマネジメントやフォローをするのが困難になります。

その結果、問題が生じていても早期の発見や対処が難しくなったり、担当者が退職した際に顧客との関係が途絶えてしまったり、的確な人事評価ができなくなったりと、管理上の多くの問題が生じます。

営業管理はするべき項目が多岐にわたりますが、適切な営業管理を実施することで、業務効率やチームパフォーマンスを向上し、チームの連帯感や士気を高めるために役立ちます。さらに、営業管理が徹底されていれば、どこにリソースを重点的に投入すべきかも明確になり、人材を含むリソースの最適配分が可能になります。

参考記事:営業管理とは?重要視される理由と6 つの管理項目、進め方を解説

3-2.営業マン独自の対応となってしまう

属人的に業務を行っていると、営業プロセスが標準化されず、顧客対応も担当者ごとに別個の方法で行われてしまいます。このような場合、商談で得た顧客情報がブラックボックス化してしまい、組織としての一貫性がない顧客対応になってしまいます。「あの担当者は便宜を図ってくれたのにこの担当者は違う」「前の担当者と言っていることが違う」など、顧客に不満や不信感を与えてしまいます。

このような顧客満足度の低下は、売り上げにも悪影響を及ぼしかねません。また、担当者が変わるたびに新たな関係構築が必要となり、顧客にとっては無駄な時間と手間がかかることになります。結果として、顧客のロイヤルティが低下し、他社に乗り換える可能性が高まります。このようなリスクを回避するためには、情報共有の仕組みを整え、各営業担当者の活動内容を可視化・管理することが重要です。

3-3.組織内に営業ノウハウがたまらない

属人化は、組織の持続的成長にとっても大きな問題です。属人的な状況では、営業担当者の知識やノウハウが共有されないため、組織全体のスキル向上が図れません。退職の可能性なども考慮に入れると、一部の個人の能力に依存した状態は組織として非常に危険です。さらに、新しいメンバーが入社した際の育成が効率的でなくなり、即戦力として活躍できるまでの時間が長引く恐れもあります。

属人化を解消するためには、各担当者の有用な知識や成功事例など、ナレッジを共有・蓄積できる仕組みを作ることが大切です。チーム全体のスキルアップを実現しつつ、長期的に安定して営業成果を出していくためには、属人化を解消する必要があります。

4.営業の属人化を解決する3つの方法

では、営業の属人化を解消するにはどうしたらいいのでしょうか。ここでカギとなるのは、以下の3点です。

  • 営業プロセスの標準化
  • 情報共有の仕組みの整備
  • ルールの定着

営業プロセスの標準化を行うことで、個々の営業担当者のスキルやノウハウに依存せず、営業チーム全体のパフォーマンスを安定的かつ最大限に発揮することができます。

また、営業管理を行い、情報共有の仕組みを整備することで、チーム全体での知識の共有や協力が進み、属人化を防ぐことができます。

これらの方法を実践することで、営業活動の効率化と成果の向上が期待できます。

参考記事:【最新版】営業効率化ツールおすすめ17選!

4-1.営業プロセスを整理して標準化する

属人化を解消するうえでは、営業活動の進め方や方法論を組織として確立し、それに従って各担当者が業務を進めるようにすることが重要です。そのためには、既存の営業プロセス全体を一度見直して、無駄な業務や属人化しやすくなっている業務を把握し、それらを是正したうえで新たな営業プロセスを策定する必要があります。

営業プロセスを新たに策定する際のポイントは以下の3点です。

  • 標準となる営業ステップを抽出する
  • 営業ステップはなるべくシンプルにする
  • 各ステップの具体的行動を定義する

以下のページで3つのポイントについて詳しく説明していますので、ご覧ください。

参考記事:「営業プロセス」の基礎・基本を学ぶ|作成のポイントとは?

営業プロセスを策定する際は、成果を出している担当者を中心に現場の意見や知恵も取り入れるのがおすすめです。そして、この新しい営業プロセスは全担当者に徹底し、誰が担当しても同程度の成果を出せるように業務の標準化を進めます。

標準化すると、組織で最適化された営業プロセスやKPIが定められているため、行動と結果の因果関係が明確になります。

また、各人のパフォーマンスが高いレベルで均一になります。お客様と接触する機会が多くなり、営業データの記録や営業計画の立案・実行、ナレッジ共有の水準が改善します。

参考記事:再現性のある営業組織とは?

4-2.情報共有の仕組みを整える

営業プロセスの標準化と並行して行うべきなのが、情報共有できる仕組みの整備です。ITツールを活用し、営業活動や顧客情報を組織的に管理できるように情報共有のプラットフォームを整えましょう。これらのツールに適宜情報を入力・蓄積していくことで、組織全体でデータを有効活用したり、マネジメントを効率化したりすることが可能です。

情報を入力・蓄積する際は、サンプル数が少ないと営業活動を改善するために記録したデータを分析するときに正確な分析結果を出すことが難しいため、より多くの顧客・営業活動に関する情報を入力・蓄積しましょう。

加えて、面談の開始時間を15分単位で残すのか1分単位で残すのか、リードソースを経路まで残すのかなど情報の細かさも重要で、中には1回の訪問につき20~30程度の項目を入力する企業もあります。

そして、情報の精度の観点からどれだけ事実ベースで記録できているかということも大切です。嘘や事実ではないことが記録されていると、分析や計画をする際に精度が大きく下がってしまうため、注意しましょう。

参考記事:強い営業組織の文化として必要な5つの要素 ~記録編~

他にも、ミーティングなど定期的に情報共有する場を設けたり、丁寧に新人研修ができるように指導役の担当者の業務量を調整したりする、といった配慮も欠かせません。

このように営業組織の属人性を限りなく少なくして、再現性を持たせる必要があります。その取り組みとしてセールスイネーブルメントという概念を理解して、自社に応用することが重要です。

参考記事:【2024】セールスイネーブルメントツールおすすめ10選比較

4-3.新しいルールが定着するための仕組みや組織風土を作る

先述したように、営業の属人化は組織風土や個々人の意識に根差している場合もあります。そのため、表面的に仕組みを整えるだけでなく、担当者個々人が率先して情報共有や協力をする気になれるような仕組みや雰囲気を作ることも重要です。

たとえば周囲へのフォローや新人教育への貢献など、裏方的な働きも重視するように人事評価を変えることが挙げられます。近年では、従業員同士が報酬や評価ポイントを送り合う「ピアボーナス」という仕組みを導入する企業も増えています。

また、定期的なチームミーティングを通じて、全員が同じ目標に向かって協力する姿勢を育てることも大切です。こうした機会を設けることで、社員同士のコミュニケーションが活発になり、自然と情報共有や協力が促進されます。

さらに、成功事例を社内で共有し、成果を出した担当者を表彰する制度を設けることで、全員が新しいルールを守りながら業務を進める意識を高めることができます。

このように、仕組みと風土の両面からアプローチすることで、新しいルールの定着と常態化が実現します。

ただし、すでに売上を上げている人など、中には情報をシェアし合うことに対して必要性を感じない人が出てくることがあります。その場合は、会社全体の利益を最大化することが目的であり、全社的な取り組みであるということを認識・理解してもらえるような働きかけが必要です。

参考記事:強い営業組織の文化として必要な5つの要素 ~吸収編~

営業の属人化解消に役立つツール

営業の属人化解消に役立つツールは様々ありますが、今回は営業支援システムと顧客管理システムをご紹介します。

営業支援システム

営業支援システムは、営業に関する情報を入力し、データ化して蓄積・分析することができるツールです。営業支援システムを活用することによって、各営業の営業活動が可視化され、手軽に顧客への効果的なアプローチ方法を考えたり、自身の弱点を把握したり、ナレッジや情報を共有したりすることができるようになります。

代表的なツールとして、Salesforce.com, Inc.が提供している「Sales Cloud(セールスクラウド)」やHubSpot, Inc.が提供している「HubSpot(ハブスポット)」、サイボウズ株式会社が展開する「Kintone(キントーン)」、「SALESCORE(セールスコア)」などがあります。

顧客管理システム

一方、顧客管理システムは顧客情報を中心に集約し、顧客と良好な関係を構築・維持するためのツールです。顧客情報を入力し、それをリアルタイムで分析することで、一人一人に最適なアプローチを行えるようになります。その結果、受注に繋がったり、顧客満足度を向上させることができます。

なお、営業支援システムと顧客管理システムは機能が統合されており、明確な区分がない場合もあります。

代表的なツールとして、Salesforce.com, Inc.が提供している「Sales Cloud(セールスクラウド)」やHubSpot, Inc.が提供している「HubSpot(ハブスポット)」、サイボウズ株式会社が展開する「Kintone(キントーン)」などがあります。

導入事例

ピー・シー・エー株式会社では、HubSpotの統合型顧客管理プラットフォームを利用することで、マーケティング部門とインサイドセールス部門間の情報が一元管理され、部署間の連携が強化されました。これにより、顧客データの連動の問題が解消され、組織全体での顧客対応がスムーズになりました。

顧客情報やアクティビティ履歴が一元管理されているため、担当者が退職した場合でも問題なく引き継ぐことが可能となり、継続的な顧客関係の維持が実現しました。これにより、過去の対応履歴をもとにスムーズな営業活動が行え、顧客との長期的な関係構築が促進されました。

引用:Sales Hub導入事例:ピー・シー・エー株式会社


営業支援ツールと顧客管理システムについて、もっと詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

参考記事

【最新版】営業効率化ツールおすすめ17選!

営業支援とは?目的や導入の手順、ITツールの活用方法まで徹底解説

営業の属人化解消に成功した企業の事例

実際に、営業の属人化解消に取り組み、成果を挙げた企業があります。イノセル株式会社は属人化していた営業スタイルから脱却し、再現性のある営業の仕組みづくりを実現すべく、営業フローを可視化する目的でSALESCOREを導入しました。

導入以前は個人プレイヤーの集まりのような形で営業が属人化していましたが、SALESCORE導入後はダッシュボードでは自分以外の数字も見える化されるため、進捗がビハインドしているメンバーに対してアドバイスをするなど、チームワークが生まれました。

   ▲SALESCOREのダッシュボードイメージ図

また、SALESCOREを見ながら数字ベースで語れるようになったことで、コミュニケーションの質が変わりました。KPI達成のためにどう動いていくかといったことをマネージャーだけでなく、現場も主体的になって考えられるようになるなど、メンバーのマインドセットも変化しました。

SALESCOREではどこに課題があるのか明確であるため、どの行動量を増やすべきか、どこを改善していくべきかといったことがすぐに気付くことができます。SALESCOREを導入したことによって、より強い営業組織になっていると感じるとともに、業績は200%成長を実現できています。

参考記事:みんなで同じダッシュボードを見ることで属人化が解消。改善の議論が常に生まれる強い営業組織へと変化していった

SALESCOREについて

SALESCOREは、弊社SALESCORE株式会社が提供する、データドリブンな営業組織作りをサポートするSaaSです。業界・規模問わず、幅広いお客様にご導入いただいています。

SALESCORE Visualizeは、営業支援システムと連携した予実管理ダッシュボードで、ダッシュボードから目標(予算)設定し、営業支援システムを始めとした複数のソースと連携することで、KPIを可視化するとともに、予実をリアルタイムで自動表示することができます。さらに、標準進捗率(営業日の進捗)に対して、目標の達成率が上回っているか下回っているかで赤/青の色分け表示する機能があるため、進捗を一目で確認できます。

KPIの数値をクリックすると、集計元となるレポートが表示されます。そのため、各案件の詳細について正確に把握できるとともに、それらの一次データを基に適切な改善策をその場ですぐに考えることができます。

UI上でグラフやピボットを用いた高度な分析も可能です。従来、営業のボトルネック特定のためにかかっていた時間を80%削減できます。

また、営業支援システムへの情報の入力をExcelライクに行えるSALESCORE Syncを活用することで、入力時間を60%削減することができます。

公式HP:SALESCORE

5.まとめ

営業の属人化は、チーム全体の営業力向上を困難にし、組織の持続可能性に悪影響を与えます。属人化が起こる原因として大きいのは、やはり情報共有の不足です。情報共有の不足は、人事評価の仕組みや組織風土の問題のほか、情報共有プラットフォームの未整備に起因することも多々あります。

属人化を改善できれば、各人のパフォーマンスが高いレベルで均一にできたり、能力要件の高い優秀層を採用しなくてもよいため、採用コストを大幅に下げることができるので、ぜひ組織の標準化に取り組んでみてください。

IT活用の面から営業の属人化へ対処する際は、ぜひSALESCOREの導入をご検討ください。

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