パイプライン管理の手順とマネジメント法について解説!

営業組織が業績目標を達成するためには、適切な案件管理を行う必要があります。

しかしながら、適切な案件管理ができておらず、

「受注に至るまでの青写真を描けておらず、案件のフェーズが序盤から進まない」
「案件における顧客の現状等を正しく認識できていないため、サプライズ失注が発生する」
「目標と実績値に乖離があることに気づくのが遅れ、急遽足りない数字を作ろうとする」

といった課題を抱えている企業や営業組織も多いのではないでしょうか?

そのような課題を解決するためによく用いられる案件管理手法が、「フォーキャスト管理」と「パイプライン管理」です。

一般的な企業が陥りやすい案件管理における課題の詳細や、「フォーキャスト管理」「パイプライン管理」の概要については、「適切な案件管理とは?効率的に売上を作り、業績目標を達成する方法を紹介」で説明しておりますので、そちらをご覧ください。

本記事では、後者の「パイプライン管理」の手順やマネジメント法について解説します。パイプライン管理の手順やマネジメント法を理解することで、受注に至るまでの道筋を可視化し、各フェーズにおける顧客の状態をより正確に把握することができるようになります。

さらに、より成果に結びつくフィードバックやネクストアクションを実行できるようになるため、案件確度が高まり、失注を減らすことができます。ぜひ、ご一読ください。

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INDEX目次

パイプライン管理の手順とマネジメント法


「パイプライン管理」とは営業活動の初回面談から受注に至るまでのプロセス全体を管に見立てて、営業活動の流れを可視化することで、分析や改善を行う案件管理法のことです。

パイプライン管理は、「フェーズの定義」と「案件レビュー」の2つのステップで進めていきます。それぞれ詳しく見てみましょう。

フェーズの定義


フェーズの定義では、顧客の購買プロセス(カスタマーパス)を作成し、案件のフェーズを定義します。カスタマーパスとは、顧客の意思決定プロセスを言語化したものです。

「目的(ニーズ)の顕在化」→「目的に対する課題整理」→「課題解決に向けた戦略を決定」→「戦略実現に向けた戦術を決定」→「戦術実行の意思決定」の順に定義していきます。

この時、顧客が自社商品を購入する理由やプロセスを”顧客目線”で考え、作成することが重要です。カスタマーパスを作成することで、営業がより正確に顧客の状態を把握することができるようになるため、顧客と営業の認識の相違を減らすことができます。


次に、作成したカスタマーパスのどのフェーズにいたとしても、全ての営業が顧客のフェーズを前に進めることができるよう、営業が取るべきアクションや提供価値を明確にします。そして、これを営業組織の中で共通の物差しにすることで、営業間での認識のずれを防ぐことができます。


詳しいカスタマーパスの作成方法や、営業が取るべきアクション・提供価値を明確にする手順については、「受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part1」「受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part.2」「受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part3」で説明しておりますので、そちらをご覧ください。


案件レビュー


フェーズを定義したら、次に「案件レビュー」を行います。

「案件レビュー」では、より確実に案件のフェーズを前に進め、案件を受注する(=失注を無くす)ために、各案件の状態を把握するとともに、次のフェーズに進捗させるために確認すべきことや、実行すべきことをレビューします。

案件の把握


案件レビューを行う場合、営業マネージャー・管理職はミーティングや営業担当との個別ヒアリングを通して、案件の詳細をフェーズ毎に把握しましょう。

ミーティングや会議体を設計し、保有案件の概要や現状、ネクストアクションについて確認・把握していきます。この時、次のアクションとして「何を」「いつ」「誰に対して」「どのようなことをする」のかを確認することが大切です。

全ての案件について案件レビューを行うと大変なので、SalesforceなどSFAに記録し、それを基に議論したり、メンバーが上げてきた案件についてのみフィードバックを行ったりすると、効率良く実施できます。


次に、案件の全体を把握した上で、優先的にレビューする案件をピックアップし、ネクストアクションの確認とフィードバックを行います。

金額的にインパクトが大きい案件や、商談フェーズが1ヶ月以上変更されていない案件、活動されていない案件、失注する可能性があると報告を受けた案件をピックアップするといいでしょう。

フィードバック


案件の全体像を確認し、優先的にレビューする案件をピックアップしたら、営業マネージャー・管理職は営業担当に対してフィードバックを行います。

フィードバックは、基本的に5W1Hに沿って行います。例えば、案件のネクストアクションとして「社長に対してプレゼンをする」と記載されている場合、まずはこれを「社長に対して」と「プレゼンをする」という要素に分解します。そして、各要素について5W1Hの観点でフィードバックを行います。

「社長に対して」という要素については、いつ会うのか(When)、社長と誰が会うのか(Who)、どのようにして会うのか(How)などをフィードバックします。

「プレゼンをする」という要素については、何をプレゼンすることが社長に必要とされているのか(What)などをフィードバックします。

このように、ネクストアクションについて5W1Hに沿ってフィードバックすることで、より効果的なネクストアクションを決めることができます。


フィードバックは基本的に5W1Hに沿って行いますが、5W1Hでは確認しきれない部分もあるため、「失注仮説マネジメント」や「外出報告制度」を取り入れ、フィードバックの精度を高めていきましょう。

「失注仮説マネジメント」とは、カスタマーパスの各フェーズ毎に想定される失注理由を整理し、それに基づいて案件管理を行うことで、案件の失注を減らすマネジメントのことです。まずは、これまでの営業活動を振り返り、どのフェーズで、どのような理由で失注になる可能性があるのか仮説を立てます。

各フェーズにおいて想定される失注理由の例は以下の通りです

フェーズ

失注理由の例

目的(ニーズ)の顕在化

課題のクリティカル度と優先度の設定が甘かったために、先方社内の合意形成が取れず、失注

目的に対する課題整理

課題について合意できたものの、既に課題解決に向けて着手済みであるため、失注

課題解決に向けた戦略の決定

課題について合意でき、他に取り組んでいることもないけれど、課題に適した解決策を持ち合わせていなかったり、提示した解決策が弱く顧客が先送りしてしまったり、機能や仕様が適合しなかったなど、解決策について合意できず、失注

戦略実現に向けた戦術の決定

顧客が違う種類の解決策を選択したり(間接競合)、競合との比較で負けてたり(直接競合)して、失注

戦術実行の意思決定

顧客の予算やリソースが足りず、動けなかったり、解決するために取り組むことになったものの、解決手順的に後だと判断され、失注


次に、洗い出した失注理由を基に、各失注仮説をクリアしてフェーズを前に進めるために何をするべきか考え、フィードバックします。


この時、営業担当とその上司は、会話を通して根拠とネクストアクションを明確にしていきましょう。根拠については、営業担当の主観ではなく、顧客目線で考え、ネクストアクションについては、5W1Hに沿って考える必要があります。


「外出報告制度」とは、商談や面談などで外出する前と後に、アポイントの内容や顧客が抱える課題の仮説や、その仮説に対して用意する提案内容について、部下である営業担当が上司にフィードバックをもらう場のことです。


事前報告では、予めまとめておいた事前調査によって得た情報(顧客の事業内容や従業員数、事前のヒアリング情報など)と、提案内容やヒアリング事項、仮説の確認・擦り合わせを行います。


事前報告を受けた上司は、営業担当に対して「問い合わせの背景は何ですか?」「予算はどれくらいですか?」など、フィードバックを行います。

このように事前報告を行うことで、営業担当は事前に商談・面談のシミュレーションができるだけでなく、上司から事前に指導・アドバイスを受けることができるため、提案・面談の質や営業スキルを高めることができます。

ただし、全アポイントについて事前準備や事前報告を行う必要はありません。まずは、重要な案件や、事前報告しておきたい案件で取り組んでみましょう。


事後報告では、案件状況や商談・面談の出席者情報、パーチェスポイント(買う理由)、受注までの壁、事前報告時に受けたアドバイスを実践した結果、顧客と合意しているネクストアクションについてまとめ、報告します。


その報告を受け、上司は「予算を引き上げることはできるか?」「決裁者は把握しているか?」など、フィードバックを行います。

このように事後報告することによって、営業担当は立てた仮説を振り返ったり、上司にネクストアクションについて相談できるため、案件確度を高めることができます。また、リードタイムを短縮することにも繋がります。営業組織やチーム毎に事後報告を実施したり、SFAなどで数字を共有している場合は、各営業の得手不得手を把握することができるため、互いにナレッジを共有し合うこともできます。

SALESCOREで手軽に案件状況を可視化・分析


パイプライン管理をしっかり行おうとすると、SFAなどにデータを入力・蓄積し、データをまとめ、まとめたデータを見ながら現状を分析し、分析結果を基にネクストアクションを考えるなど、とても手間がかかります。そのために、挫折してしまうケースも多々あります。そのような時に役立つのが、SALESCOREです。

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SALESCORE Visualizeとは、SFAと連携した予実管理ダッシュボードです。ダッシュボードから目標(予算)設定し、SFAを始めとした複数のソースと連携することで、案件管理において重要な営業プロセスの可視化を可能にするとともに、予実をリアルタイムで自動表示することができます。さらに、標準進捗率(営業日の進捗)に対して、目標の達成率が上回っているか下回っているかで赤/青の色分け表示する機能があり、一目で案件の進捗状況を確認することができます。そのため、進捗が悪い案件に気づくのが遅れるといったヒューマンエラーを防ぐことができます。


KPIの数値をクリックすると、集計元となるレポートが表示されます。そのため、案件の詳細について正確に把握できるとともに、それらの一次データを基に適切なネクストアクションをその場ですぐに考えることができます。UI上でグラフやピボットを用いた高度な分析も可能です。従来、営業のボトルネック特定のためにかかっていた時間を80%削減できます。

■SALESCORE Sync


SALESCORE Syncは、SFAの入力工数を削減する外部クライアントです。SFAと連携することによって、SFAへの営業活動や案件に関する情報の入力をExcelライクに行うことができます。コピー&ペーストといったショートカットキーを用いた入力ができるだけでなく、カスタムオブジェクトを含めた複数オブジェクトへの入力を一画面で行うことが可能です。これらの機能により、入力時間の60%(マウス操作と画面遷移)を削減できます。


フェーズや金額、ネクスト期日、確度などのハイライトも可能です。商談フェーズの進行で緑、後退で赤などハイライトを実施することで、案件の状態の変化をトラッキングすることができます。

まとめ

いかがでしたか?

パイプライン管理を行うためには、まずはカスタマーパスを作成し、案件のフェーズを定義します。そして、より確実に案件のフェーズを前に進め、受注につなげるために案件レビューを行って各案件の状態を把握し、次のフェーズに進捗させるために確認すべきことや、実行すべきことを明確にします。

この時、営業マネージャー・管理職は営業担当に対して、5W1Hに沿ってフィードバックを行います。ただし、5W1Hでは確認しきれない事項もあるため、「失注仮説マネジメント」や「外出報告制度」を取り入れ、フィードバックの精度を高めていきましょう。

本記事の中で皆様の会社で活かせるものがありましたら、ぜひ実践してみてください。

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