前回の記事までで、自社のお客様がどのような思考過程を経てサービス等の購入にいたるのかを考え、各意思決定フェーズでのお客様の状態を定義し、カスタマーパスをつくりました。
詳しくは「受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part1」「受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part 2」をご参照ください。
本記事では、作成したカスタマーパスをもとに現在の顧客の状況・認識を正しく把握した上で、顧客が次の意思決定フェーズに移行するために営業がすべきことを考えていきます。
「お客様に対してどのフェーズで、どのようなアプローチするべきなのか、最適解がわからない」
「顧客に正しい情報提供ができず、フェーズアップができていない」
といった悩みを抱えている営業パーソンや営業責任者の方は、ぜひご覧ください。
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意思決定プロセスの各フェーズにおける顧客の理想的な認識
お客様に自社のサービス等を買っていただくためには、お客様の状況や考えを正しく把握した上で、より購入していただきやすい状態に導いていくことが大切です。
ここからは、前回までに作成したカスタマーパスの各フェーズにいるお客様に自社のサービス等を売るためには、お客様がどのような認識を持っていると売れやすいのか、顧客の理想的な認識について考えていきましょう。
例えば、取引アカウント数を増やして売上を上げたいというニーズがあり、案件管理を最適化して受注率を上げたいと考えているお客様の場合の各フェーズにおける顧客の理想的な認識を下にまとめました。
■「目的(ニーズ)の顕在化」のフェーズ
- 売上を上げる(または目標を達成する)ためには取引アカウント数を増やす必要があると考えている
■「目的に対する課題整理」のフェーズ
- 取引アカウント数を増やすには、受注率を上げないといけないと感じている
- 受注率の向上のためには案件管理の最適化が必要だと認識している
■「課題解決に向けた戦略の決定」のフェーズ
- 案件管理の理想が描けている
- 案件管理を進めるにあたってデータを活用しようと思っている
▲カスタマーパスと顧客の理想的な認識のまとめ方の例
上記のような理想的な認識を作り上げていくためには
- まずは自社の目線で顧客にどのような認識を持っていただければ売れるのかを考える
- 受注済みの顧客の意思決定の流れを顧客にヒアリングする
- 営業において成果を上げているハイパフォーマーにヒアリングをする
などを行うと良いと思います。
顧客の認識を判別する項目
前章で各フェーズにおける顧客の理想的な認識について考えましたが、
すべてのお客様が前章で考えたような理想的な認識をもっているとは限りません。
「今、課題解決に向けた戦略の決定のフェーズにいます」と言っていて課題解決に意欲的なお客様でも、実はその前のフェーズの「目的(ニーズ)の顕在化」や「目的に対する課題整理」が十分にできていないために、お金を払ってまで達成・解決すべきなのか(優先度)がわからず、結局サービス等の購入に至らないこともあります。
他にも、自社のサービスに何となく興味があるだけで、具体的にどのような目的があって、どんな課題を解決したいから購入したいのかということまで考えていないケースもあるでしょう。
そのようなお客様が実際に自社のサービス等を購入する可能性は低いと思われます。
上記のような失注を防ぐためにも、営業は各フェーズで実際にお客様が前章で考えたような理想的な認識をもっているのか、またどのようなレベル感で目的や課題を認識しているのかを確認し、サービスを購入することに対するお客様の温度感を見極める必要があります。
それでは前章で考えた内容を踏まえて、営業が各フェーズでお客様に聞くべき事柄を考えてみましょう。
第2章で挙げた、取引アカウント数を増やして売上を上げたいというニーズがあり、案件管理を最適化して受注率を上げたいと考えているお客様を例に、各フェーズにおける顧客の理想的な認識を下にまとめてみました。
■「目的(ニーズ)の顕在化」フェーズ
売上を上げるために取引アカウント数を増やす必要があると思っているかどうかを確認するためには、
- 現在の売上計画に対する実績の達成率
- 目指す売上の伸び率
- 売上目標未達の主因になっているKPI
■「目的に対する課題整理」フェーズ
受注率を上げるために案件管理の最適化が必要だと思っているかどうかを確認するためには、
- 受注率の向上の余地KPI
- 上記を向上させるための営業施策
■「課題解決に向けた戦略の決定」フェーズ
案件管理の理想が描けているかどうかを確認するためには、
- データ集計にかかっている工数
- 既存のデータ可視化サービスを用いて現場で改善アクションが回されているか
- どこのデータソースから取得しているか(複数のソースが必要か)
- 現在の売上予実管理頻度
▲カスタマーパスと顧客の認識を判別する項目のまとめ方の例
以上のように、顧客の認識を判別する項目を考え、書き出していきましょう。
顧客の認識を変えるためのアクション
最後に、各フェーズにいるお客様が次のフェーズに移行できるよう、営業がすべきアクションについて考えていきたいと思います。
お客様が問題なく次のフェーズに移行するためには、現状お客様がもっている認識を第2章で考えた理想的な認識に変えていく必要があります。
そのために、営業は各フェーズで何をすべきなのでしょうか。
各フェーズで営業がすべきアクションを下にまとめてみました。
■「目的(ニーズ)の顕在化」がまだなされていない場合
→目的を達成するメリットや理想像を伝えたり、緊急度を訴求する
例)案件管理を最適化(=目的達成)することで、事業成果につながるという話や、それが事例から第三者的に証明されていて取り組むべきであるというような話で需要を喚起する話
■「目的に対する課題整理」課題特定ができていない場合
→必要な情報を提供してお客様が抱えている課題の優先順位付けや、潜在課題を発掘するサポートをおこなう
■「課題解決に向けた戦略の決定」ができていない場合
→各戦略のメリット・デメリットなど顧客が戦略を決めたり、戦略の優先順位付けをする際に必要な情報を提供してサポートする
■「戦略実現に向けた戦術の候補決定」がまだできていない場合
→各戦術のメリット・デメリットや、競合比較、ROI試算など顧客が戦略を決めたり、戦術の優先順位付けをする際に必要な情報を提供しつつ、自社商品を提案する
■「戦術実行の意思決定」がまだできていない場合
→お客様の会社の決裁プロセスを把握したり、最終的な意思決定をする際にステークホルダーをフォローしたり、稟議書の作成を手伝ったりする
肝心の費用対効果については、「目的(ニーズ)の顕在化」や「目的に対する課題整理」のフェーズで達成したい売上目標や現在の未達状況、受注率・案件発生率などをお客様から聞いて把握した上で算出したり、「戦略実現に向けた戦術の候補決定」のコスパ比較で情報提供したりしていくことになります。
営業ができるアクションは他にもいろいろありますし、お客様の状況もさまざまなので、自社のカスタマーパスに合わせて考えてみてください。
まとめ
本記事では、前回までに作成したカスタマーパスを営業活動に活用していく方法について解説しました。
より確実にお客様に自社のサービスを購入してもらうためには、①~③のように営業がお客様の状態を正しく把握し、行動していくことがとても重要です。
① 意思決定プロセスの各フェーズで、お客様がどのような認識を持っていると自社のサービスが売れやすいかを考える
② お客様が実際にどのような認識をもっているのか、①で考えた認識に近いかを判別するための項目を作成する
③ お客様がもっている認識を①で考えた理想的な認識に変えていくために、営業がすべきことを考える
また、カスタマーパスは他にもKPIや営業のトレーニング内容等を設定する際にも役立ちます。
皆様もぜひ、カスタマーパスを作成して営業活動の仕組み化に活かしてみてください!
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営業組織をマネジメントする上で、目標達成課題が明確でない、KPIが点在しPDCAが回せていない、SFA入力や予実管理の負担を下げたいなど、様々な課題がありませんか?
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・売上250%、アポ獲得数400%改善など実績多数
・営業状況がシンプルにデータで視覚化され課題特定がすぐ可能
・SFA/CRMへの記録や可視化、予実管理が驚くほど簡単
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