案件管理は、目標を達成するために必要不可欠なアクションの一つです。適切に案件管理を行うことによって、効率的に売上を作ることができるようになります。
しかし、適切な案件管理について正しく認識・理解し、実行している営業組織は少ないように思います。
本記事では、一般的な企業が陥りやすい案件管理における課題や、案件管理の目的と3つの視点、適切な案件管理を行うための案件管理手法について解説します。
「部下が受注予定と言っていた案件が失注することがよくある」
「期末にかけて足りない売上数字を急ピッチで補填する計画を立てている」
といった悩みを抱えている営業の方は、ぜひご一読ください。
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案件管理とは
案件管理とは、自社で扱う案件の顧客情報や進捗状況を管理することです。保有している案件をフェーズごとに可視化し、各案件のフェーズを前に進めるための計画を立てて実行に移すことで、効率的に売上をつくるための活動が可能になります。
一般的な企業が陥りやすい案件管理における課題
冒頭でも述べたように、適切な案件管理について正しく認識・理解し、実行できている営業組織は多くはありません。ここでは、一般的な企業が陥りやすい案件管理における課題を3つ紹介します。
フェーズが序盤から進まない
適切な案件管理ができていない企業では、そもそも適切な案件管理とはどのようなものなのか、どのように進めたらいいのかを正しく認識・理解できていないことが多いです。そのため、どのようなプロセスで受注に至るのか青写真を描くことができず、案件を次のフェーズに進めるために何をすべきかも明確になっていないため、フェーズを序盤から進めることができません。
サプライズ失注が発生する
営業が受注予定と読んでいた案件が突然失注になってしまったり、案件フェーズの後半に入っていたものの、気づいたら失注してしまったりする、いわゆる「サプライズ失注」も発生しやすいです。これは、案件における顧客の現状認識を正しく理解しないまま、営業の主観で受注の読みをしていたり、仮に失注するとしたら何が要因かを事前に想定し、それを未然に防ぐための対応策を講じていないといったことが原因で起こります。
月末や期末に慌てて未達分を補おうとする
案件には、基本的にリードタイムがあるため、数か月前の行動が現在の結果となって現れます。そのため、受注が迫っていないフェーズの案件管理が適切に行われていない場合、追いかけている目標と実績値に乖離があることに気づくのが遅れ、月末や期末間近に慌てて不足分の数字を作るための活動を行っている企業も見受けられます。
案件管理の目的と3つの視点
案件管理を行う目的は、業績目標を達成するためです。それを達成するために必要な視点として、下記の3つがあります。
・失注案件を減らす
・期待収益を増やす
・新しい案件を創出する
それぞれ詳しく見てみましょう。
失注案件を減らす
1つ目の視点は、「失注案件を減らす」ことです。特に、受注できると見込んでいた案件が失注したり、当初の受注予定金額が減少したりすると、計算が狂ってしまい、営業組織にとっては大きな悩みの種になります。売上が減少しないよう、失注案件を減らすことはとても重要です。
期待収益を増やす
2つ目の視点は、「期待収益を増やす」ことです。期待収益とは、保有している案件から生み出される収益の期待値のことで、「案件の総額×受注期待値の係数」で算出することができます。業績目標を達成するためには、受注の期待収益を増やし、売上の拡大を図る必要があります。
新しい案件を創出する
3つ目の視点は、「新しい案件を創出する」ことです。業績目標を達成するためには、まだ保有していない新しい案件を創出し、売上の拡大を図る必要があります。
適切な案件が管理を行うための案件管理手法
適切な案件が管理できている状態とは?
案件管理手法の種類
適切な案件管理が行われている状態にするために、よく用いられる手法が「フォーキャスト管理」と「パイプライン管理」です。
①フォーキャスト管理
「フォーキャスト」とは売上予測や着地見込みのことで、「フォーキャスト管理」とは特定の期日までの売上予測や着地見込みを立てる案件管理手法のことです。
例えば、営業部門の期末時点の期待収益が10億円で、目標達成率は80%の見込みであると予測できていたら、残りの20%分の売上をどのようにして作るか話し合うことができます。そして、売上達成に向けた最適な活動計画を立てて実行することで、期末目前になって慌てたり、限られた時間の中で取りうる選択肢が少なくなってしまうことを未然に防ぐことができます。
どの数値を基に期待収益を出すのかは、企業によって異なります。フェーズ確度や担当者確度を参考に計算する企業もあれば、案件金額の総額で算出する企業もあります。計算式は、以下の通りです。
■フェーズ確度を参考に計算
3,00040%+4,00050%+5,000*20%=4,200
■担当者確度を参考に計算
3,00080%+4,00070%+5,000*50%=7,700
■案件金額の総額で算出
3,000+4,000+5,000=11,000
お客様も自社も無理のない持続可能な方法で、生産性の高い組織を目指すのであれば、しっかりとフォーキャスト管理を行う必要があります。
②パイプライン管理
案件管理はフォーキャスト管理だけでは不十分です。業績目標を達成するためには、案件を前に進めることも重要です。案件を前に進めるために行うのが、「パイプライン管理」です。
「パイプライン」とは管のことで、「パイプライン管理」とは営業活動の初回面談から受注に至るまでのプロセス全体を管に見立てて、営業活動の流れを可視化することで、分析や改善を行う案件管理法のことです。
お客様のフェーズを前に進めていくためには、各案件が今どのような状況なのかを把握し、次に取るべきアクションは何かを明確にする必要があります。近年は、SalesforceをはじめとしたSFAの普及に伴い、パイプライン管理を導入する企業も増えてきました。このパイプライン管理の精度が高ければ高いほど、①のフォーキャスト管理の精度も高まります。
パイプライン管理において重要になるのは、パイプライン上に反映されているフェーズが、適切に顧客の状態を表すことです。自社で定義したフェーズと、顧客の状態に乖離があった場合、管理をしてもサプライズ失注等をなくすことはできません。弊社では、カスタマーパスという顧客の購買に対する意思決定を言語化したものを元にパイプラインを管理しております。カスタマーパスについては、「受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part1」で詳細に説明しておりますので、そちらをご覧ください。
まとめ
適切な案件管理についてご理解いただけましたでしょうか?
業績目標を達成するためには、適切な案件管理を行って、案件を受注するまでの進捗を可視化し、状況に応じて遅延なく最適なアクションを実行することができている状態を作ることが重要です。
その状態を作るためには、フォーキャスト管理やパイプライン管理といった案件管理手法が有効ですので、ぜひ実践してみてください。
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