株式会社TonTon
TonTonの挑戦。事業を横断したCRMデータ活用で不動産オーナーとの長期的な関係を築く
今回は株式会社TonTonの代表取締役 今川博貴様にお話をお伺いしました。不動産事業にSALESCOREのコンサルティングを提供しています。不動産事業において取り組んだCRMデータの統合の目的や今回のプロジェクトにおいてどのような変化や成果を期待しているのかをお伺いしました。
サマリ
仕入れ・販売・管理の部署間でデータや情報が共有されておらず、不動産オーナーとの長期的な関係が築けていなかった。部署間の連携が改善されることによって、オーナーの収益の最大化や、提供できる価値の幅が広がるのではないかと考えていた
部署間のCRMデータ活用を進めるために、システム部分を委託したが想定通りに進まなかった。システムの要件定義から営業現場への定着までを一気通貫で実施することで、課題解決までの道筋が見えた
営業データを担当営業、担当エリア、物件別など複数観点から可視化・分析していくことで、売上向上や従業員の成長のために最適な組織体制や業務設計にも活かし、顧客満足度へ繋げていきたい
部署間でデータが連携できず、顧客と長期的な関係構築ができていなかった
経営で大切にしている理念を教えてください。
弊社では「人儲け」を理念としています。背景として、私は19歳のときから仲間と紆余曲折しながら10数事業立ち上げており、お金に不自由な時代もあったんですが、苦じゃなかった経験があります。そのときに、どんなにお金を持っていても幸せを掴むことはできない、であれば何が大切かというと周りの人だと思ったんです。そのような経験から「人儲け」を掲げています。
中でも不動産事業については、コミュニティづくりを大切にしています。日本には様々な時代がありますが、中でも縄文時代は長く続いたすごい時代だと思っています。人々が自然と永続的に共存しながら生活を送ったとされていますが、所有しない生活が一般的で、色々な物を共有しあっていた、その結果無駄な争いがなかったからではないかと。縄文時代のような時代を日本でもう一度再現したい、そのためにシェアしあうコミュニティづくり、まちづくりをしていきたいと考えています。
不動産事業で目指していること、実現するにあたって課題になっていたことについて教えてください。
不動産事業では、仕入れ・販売・管理をワンストップで提供することで、オーナー様との接点を持ち続け、長期的な関係をつくることを大切にしています。なかでも、コミュニティづくりにおいては管理が肝になると考えています。私たちの考えるワンストップとは、ただ不動産を仕入れて、販売して、管理しているというのとは違います。お客様の資産をお預かりしている以上、顧客の収益最大化を図れるかという点が重要です。オーナー様にヒアリングした内容や状況に関するデータ・情報を部署間で共有できるようになると、お客様が何を求めているかを理解でき、複数部署でニーズに対する適切な解決策を提案できます。
例えば、顧客の収益最大化を目的として、管理しているオーナー様の物件の売却を推奨したり、物件が欲しいオーナー様に物件を供給したり、購入したオーナー様に管理のお手伝いをすることもできるようになります。そうすると、事業全体でオーナー様の収益化の最大化を図ることができ、加えて自社のサービスを提供範囲を広げることができるのではと考えていました。オーナー様とTonTonを通じたコミュニティをより良いものにしていくためには大事な考え方です。
しかし、仕入れ、販売、管理のデータ統合は容易ではなく、やりきれている状況ではありませんでした。結果として我々からそのようなご案内をする機会を損失していました。売買のメンバーは管理のことがわからないですし、逆も然りで、それぞれの業務以外のことはわかりません。
加えて、誰がいつオーナー様にアプローチしたか、その結果やヒアリングした情報が共有されていないために、毎回同じオーナー様に別のメンバーが電話をかけてしまっていました。弊社の架電やヒアリング効率が悪いだけではなく、何よりもオーナー様にとって何回も同じ説明をしたりというのは良くない体験です。
課題はファクトであるデータを見ることでしか特定できないと考えていますが、判断をするためのデータが蓄積されていないために、そういった課題やなぜ顧客との関係性を長期的な関係につなげられていないのか、具体的な要因や解決策も解明できていませんでした。そういった課題から各部署のCRM活用の見直しを開始しました。
営業やシステムを一気通貫で考えてくれ、定着までコミットしてくれたのが良かった
弊社に発注を決めた理由を教えてください。
弊社ではCRMとしてZohoを活用しており、顧客情報とヒアリング内容を蓄積しています。Zohoを導入して一年くらい経っていたんですが、我々が抱える課題に対してCRMをどのように活用すれば理想を実現できるかがわからず、活用できていませんでした。他社にコンサルティングを依頼したこともあったんですが、なかなか思うように進みませんでした。
その中でもSALRSCOREさんが良かったのは、我々の理想と課題への解像度が高かったこと。入ってくださったコンサルタントの長尾さんと松本さんが、どのようなステップを踏めば理想を実現できるのかを一つずつ紐解いてくれてました。また、理論や戦略だけではなくシステム設計から現場への定着までコミットまで含めて提案してくれたことで、課題解決がイメージできたことですね。
特に、コンサルタントの方は営業プレイヤーの経験値もあり、営業としての本質を理解されていたのが心強かったです。目的はシステムを導入・活用することではなく、最終的に営業で売上を上げていくこと、成果につながらないとシステムに投資する意味はないと考えています。きちんとそれを踏まえて、成果を上げるための活用方法を提案してくださったのが良かったですね。
具体的に業務はどのように変わっているのでしょうか?
以前は仕入物件の情報のみで、販売営業の商談管理や不動産管理の情報は入力・共有されていませんでした。今回のプロジェクトでは、SALESCOREさんに一緒に伴走してもらいながら要件定義を完成させ、仕入・販売・管理部署の顧客情報である仕入れ元、売り先、管理先と物件情報・商談契約情報を入力するようになりました。
また、データ入力をするシステムがZohoからSALESCOREに変わりました。SALESCOREでは画面遷移することなく一括でデータ入力することができ、入力されたデータがZohoへ連携されています。
現場メンバーからは見やすく入力工数も削減したという声を聞いています。現場メンバーにとって業務を変えることは、リソースやエネルギーを割くため変えたくないという気持ちが強いですし、不動産業界はアナログが強いのでITツールを使い慣れていないメンバーが多いです。使いやすいことで、入力のハードルが下がり、定着を促しやすくなっていますね。
営業活動の記録も効率的に行えます。例えば、青色がリード、緑色がTODO(電話ログ)、黄色が行動(アポイント)です。一般的なSFA/CRMでは画面に複数回遷移してそれぞれ入力しなければなりませんが、「Sync」であれば一画面で電話ログやリード状況が記録できます【上画像参照】。
成果としてメンバーの成長と顧客満足度の向上に期待
現在は定着の段階かと思いますが、業務上で変化はありましたか?
データ・情報の自然な流れが設計されることによって、自然とコミュニケーションや連携が生まれていると感じています。情報の流れの設計が大事だなとあらためて思いましたね。
今回のプロジェクトで期待している成果は大きく二つあり、一つ目はデータをメンバーの成長に活用できること。以前もKPI分析の重要性は理解していたので、エクセルで営業活動の数値管理をしていましたが、顧客・物件データベースとの連携はされていませんでした。そのために、誰がどのような顧客や物件を担当していたかがわからなかったんです。ですが、今回のプロジェクトでは、KPI管理をダッシュボードにし、顧客・物件データベースと連携させたことで、以前より多くの示唆を得られるようになりました。
そこから、各メンバーがどのエリア、物件、顧客に価値を提供し、成果を上げることができたかがわかるので、得意な地域や物件がわかるようになります。そうすると、最適な組織体制や業務設計ができるようになるので、メンバーの成長を促すことができ、組織の売上も拡大していくのではと思っていますね。
もう一つは顧客満足度の向上。部署間のデータを統合しオーナー様の収益最大化につながっていく体験の設計です。それが将来的に売上にも反映されると考えています。物件の売買を担当した後にそのまま管理業務も請けるなど、オーナー様と長期的な関係を築いていけるのではないかと。最近では、建物自体のプロデュースを行うことも増えていて、オーナー様に喜んでいただけることが多いです。そのような接点も増やして、より私たちが理想としているコミュニティづくりに近づけていきたいですね。
ー今川さん、貴重なお話ありがとうございました!
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