営業活動は属人性の高い業務領域であり、いかにして営業スキルの再現性を確立するかが求められます。そのためには成約率の高い営業フローを体系化し、組織全体で共有するプロセスが必要です。
しかしながら、
・そもそも適切な営業フローが組めていない
・営業フローの組み方がわからない
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では営業フローの具体例を交えながら、可視化するメリットや基本的な流れを紹介します。本記事では営業効率の向上に欠かせない営業フローについて解説します。
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営業フローと営業プロセスの違い
営業フローとは、営業活動全体に関わる一連の流れを意味します。営業フローと営業プロセスは同義と捉えられがちですが、厳密には異なる概念です。
営業活動は大きく分類すると、「見込み客の獲得とアプローチ」「ヒアリング」「課題解決のための提案」「クロージング」というプロセスを段階的に進めていくものです。この営業活動の骨組みといえる一連の工程全体を指して営業プロセスと呼びます。
それに対して営業フローは、営業活動の全体的な流れを体系化し、営業プロセスの各工程で実施すべきアクションを具体化したものです。たとえば「見込み顧客の獲得とアプローチ」では展示会の開催や初回アプローチの手法選定、「ヒアリング」や「提案」では質問項目やトークスクリプトの作成などが含まれます。つまり、営業プロセスが「目次」だとすれば、営業フローは「各章の構成と具体的な内容」と言い換えられます。
営業フローを可視化するメリット
営業活動の再現性を確立し、営業効率の向上を図るためには営業フローの可視化が必要です。営業フローを可視化する代表的なメリットとして以下の3点が挙げられます。
進捗管理による営業活動の見直しと改善
営業フローを可視化するメリットのひとつは、営業活動の各プロセスにおける進捗状況を把握できる点です。たとえば見込み顧客の発掘段階で多くのリードが消失している場合、その理由を分析してリードジェネレーション(見込み顧客を獲得するためのプロセス)を改善しなくてはなりません。
営業活動における大きな枠組みと各フェーズで実施すべき詳細なアクションを可視化し、進捗状況を定期的に管理することで各プロセスのボトルネックを特定できるため、具体的な改善策を立案する一助となります。
定期的な進捗確認は会議体を設けて行う
定期的に進捗確認を行う際は、朝会・夕会など会議体を設けることをおすすめします。会議体を設けることによって、進捗確認だけではなく、市場動向や競合他社の動き、ノウハウといった重要な情報を共有したり、各営業担当者の活動内容をレビューして改善点を議論したりすることができます。営業担当者のモチベーションを高める場としても重要です。会議の効果的な進め方については、以下のページで詳しく説明していますので、ご覧ください。
参考記事:営業会議のムダを省いて効率化するための5つポイントをご紹介!
対応漏れによるトラブルや失注の防止
営業フローを可視化するもうひとつのメリットは対応漏れの防止です。営業フローを可視化できれば、営業プロセスの各フェーズで実施すべきアクションが明確に示され、見込み顧客や既存顧客への対応漏れを防止できます。
また、営業活動における各プロセスの進捗状況をリアルタイムで把握できるため、問題が発生しても即座に対応できる点がメリットです。それにより、対応漏れによるトラブルや失注を最小化するとともに、顧客満足度の最大化が期待できます。
成功パターンの共有による営業効率の向上
営業フローの可視化によって得られるメリットは営業効率の向上です。営業フローは日々の営業活動で蓄積されたノウハウや過去の成功パターンなどに基づいて体系化されます。
営業活動は特定個人のスキルに対する依存度が高く、属人化しやすい業務領域です。しかし優れた営業担当者の営業フローを体系化し、そのナレッジをチーム全体で共有できれば営業活動の再現性を高められます。それによって営業活動の属人性が排除され、営業効率の総合的な向上につながります。
営業の属人化とは
営業の属人化とは、営業活動に関する情報がチームに共有されることなく、担当者個人に依存した形で業務が行われている状態を指します。ここでいう「情報」とは、営業活動の進捗状況や顧客・取引先に関する情報はもちろん、成果を出すために有用なスキルやノウハウも含みます。
属人化が生じると、組織全体で安定した成果を出せなくなったり、情報共有の不備からトラブルが生じたりと、さまざまな問題が生じやすくなります。
参考記事:営業の属人化を解消する7つの方法。企業が陥りがちな属人化の対処法を解説
一般的な営業フロー
冒頭で述べたように、営業活動は「見込み客の獲得とアプローチ」「ヒアリング」「課題解決のための提案」「クロージング」という4つのプロセスで構成されています。ここでは営業活動の基本的な流れと詳細を解説します。
見込み客の獲得とアプローチ
営業活動における最初のステップは見込み顧客の獲得です。見込み顧客を集める代表的な手法としては、展示会やイベントの開催、テレアポ、資料請求、オウンドメディアやSNS、Web広告などが挙げられます。
たとえばオウンドメディアを介して資料請求をしたユーザーは、自社製品に強い関心をもつ見込み顧客です。こうした受注確度の高い見込み顧客に電話やDMなどでコンタクトを図り、商談へとつなげるアプローチを仕掛けます。
ヒアリング
見込み顧客との対談や商談の機会を得たなら、次はヒアリングを通じてニーズを発掘します。このフェーズにおける重要課題は顧客理解の深化と信頼関係の構築です。そのためには見込み顧客がどのような課題を抱え、何に悩んでいるのかを理解し、潜在的な需要を汲み取る姿勢が求められます。
ヒアリングの段階では成約を第一義の目的にするのではなく、顧客の課題や需要に対する理解を深め、その上で自社のプロダクトがどう貢献できるのかを分析することが大切です。
課題解決のための提案
次はヒアリングを通じて得た情報に基づいて資料を用意し、見込み顧客の課題解決につながる具体的な提案をします。この工程では見込み顧客のニーズに応じたプロダクトを提示し、そのメリットとベネフィットを的確に伝えることが大切です。
プロダクトの詳細や期待される成果、課題解決に至る根拠、詳細な見積もりと費用対効果、サポート体制やアフターフォローの内容などを整理し、提案書やプレゼンテーションツールで提案内容を伝えます。
クロージング
クロージングは営業活動において、商談を成約へと結びつける最終段階です。クロージングの本質的な目的はプロダクトを強引に売り込むことではなく、契約締結に至る決断を後押しすることにあります。
そのためには見込み顧客が感じている不安や懸念を取り除き、製品・サービスの導入によって得られる恩恵や長期的な利益をイメージさせることが大切です。そして交渉によって合意を得たなら成約となり、双方の署名・捺印をもって契約の締結となります。
パターン別の営業フロー
営業フローは見込み顧客の状況や購買意欲の段階に応じてパターンが異なります。大きく分けると「新規顧客の開拓」「既存顧客の掘り起こし」「インバウンドリードへの対応」の3パターンが想定され、それぞれに対応する適切な営業フローを理解することが大切です。
新規顧客開拓時の営業フロー
新規顧客の開拓時は「見込み顧客の獲得」→「アプローチ」→「ヒアリング」→「提案」→「クロージング」というステップで進展します。訪問営業やイベントの開催、広告出稿などを通じて見込み顧客を集め、その顧客リストにアプローチを仕掛けるという最も基本的な営業フローです。
しかし営業活動の基本であると同時に、最も成約に遠いパターンでもあります。自社との信頼関係が構築されおらず、プロダクトへの関心度や購買意欲が見込み顧客によって大きく異なるためです。そのため、見込み顧客を属性に応じてセグメントし、それぞれに最適化されたアプローチを体系化する必要があります。
新規開拓で成果を出すためにすべき準備や、新規開拓を行う際の注意点について、下記ページで説明していますのでご覧ください。
参考記事:営業の新規開拓に効果的なアウトバンド手法・インバウンド手法を紹介
既存顧客掘り起こし時の営業フロー
既存顧客の掘り起こし時は「顧客リストの整理」→「フォローアップの連絡」→「ヒアリング」→「提案」→「クロージング」というプロセスを辿るのが一般的です。過去に商談や取引の機会を得たものの、現在は接点が途絶えている休眠顧客を発掘して再アプローチを仕掛けます。
休眠顧客はすでに顧客接点が生まれているため、顧客獲得単価や商談化へ至るコストを抑えつつ効率的にアプローチできる点がメリットです。休眠顧客へのアプローチでは丁寧なフォローアップを実施し、関係性の再構築を重視することで案件化できる可能性が高まります。
インバウンドリードの営業フロー
インバウンドリードとは、WebページやSNSなどから興味を持ち、自ら企業の製品やサービスに関する情報を求めて接触してくる見込み顧客のことです。このインバウンドリードに対する営業フローは「問い合わせ対応」→「ヒアリング」→「顧客ニーズの分析」→「提案」→「クロージング」という工程で進みます。
インバウンドリードは自社のプロダクトに一定以上の関心度を有しているため、丁寧な問い合わせ対応と有益な情報提供を意識することが大切です。
基本的な営業フローとしては、初回の問い合わせに対してスピーディーに対応し、潜在需要や課題を引き出して顧客理解の深化を図ります。そして具体的な要望を確認した上でそれに応じた提案を準備し、自社のプロダクトが課題解決に寄与する根拠とベネフィットを提示します。
自社に合った営業フローとKPIの設定方法
より自社に合った営業フローを設定したい場合、弊社ではカスタマーパスに基づいて設定することをおすすめしています。カスタマーパスとは、顧客が自社サービス等を購入するまでの意思決定プロセスを言語化したものです。カスタマーパスの詳細については以下のページで詳しく説明していますので、ご覧ください。
参考記事:
受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part1
受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part2
受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part3
営業フローを設定したら、売上に繋がる営業プロセスやアクションKPIを設定しましょう。営業活動の進捗状況を定量的に把握することができ、対応漏れによるトラブルや失注を防止できます。また、営業支援システムなどを活用してKPIを可視化し、営業担当者全員が見れる状態にしておくことで、数字の良い営業担当者にその理由を聞きに行くなど成功パターンを共有でき、営業効率が向上します。
営業支援システムとは、営業に関する情報をデータ化して蓄積し、分析することができるツールです。営業支援システムを活用することによって、進捗管理やタイムリーな情報共有、数値に基づいた改善策の策定が可能になります。
参考記事:
確実に達成する営業計画の立て方|事例・テンプレートもご紹介!
Step1:顧客が自社商品を購入する理由やプロセスを考え抜く
まずは顧客が自社商品を購入する理由やプロセスを考え抜きカスタマーパスを整理します。はじめに「目的の顕在化」をおこない、お客様がどのようなニーズを強く持っているのか明らかにします。そして、顧客の目的を達成するために解決できていない課題を整理し、どれから取り掛かるべきかを定義します。次に、課題解決に向けた戦略と具体的な戦術を決定し、戦術実行の意思決定をします。
Step2:顧客にリーチすべきタイミングと手法を考える
顧客にリーチすべきタイミングと手法を考えます。何をすれば顧客の意思決定が前に進んでいくのかを考え、定義していきます。
Step3:営業のとるべきアクションや提供価値を明確にする
営業のとるべきアクションや提供価値を明確にします。この時、営業がすべきことは意思決定のサポートをすることです。お客様が意思決定できていないことがあるのであれば、その意思決定を促すような情報提供をおこなったり、後押ししたりします。
例えば、目的(ニーズ)を顕在化させるフェーズにおいては、導入事例や市況感に関する情報を顧客に提供しながら緊急度を訴求したり、戦略実現に向けた戦術の決定フェーズでは、類似製品の比較資料を提示したりします。
Step4:各フェーズで売上に繋がるアクションをKPI化する
アクション量を定量的に計測できるよう、各フェーズ毎に売上に繋がるアクションをKPI化します。これによって、顧客の購買プロセスに沿って全体を捉えた、ボトルネックの特定や施策の立案が可能になります。
ツールの活用
営業フローやKPIは設定したら終わりではなく、設定した通りできているか進捗をリアルタイムで確認し、PDCAを回しながら継続的に改善していく必要があります。設定した営業フローやKPIが適切であったかどうかを客観的に評価・分析し、仮説を立てて改善するというサイクルを繰り返すことで、計画の精度向上と持続的な成果が期待できます。
エクセルでも可能なのですが、リアルタイムでの情報共有が難しい、シートの管理に大きく工数がかかる、シートが壊れてしまう、データ量が増えるとファイルが重くなるといった点から、敬遠する企業が見られるようになりました。
参考記事
営業案件管理ツール5選紹介!|営業向け案件管理ツールは必要?
案件管理のやり方とは?5つのツールや選び方まで分かりやすく解説。
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KPIの数値をクリックすると、集計元となるレポートが表示されます。そのため、各案件の詳細について正確に把握できるとともに、それらの一次データを基に適切な改善策をその場ですぐに考えることができます。UI上でグラフやピボットを用いた高度な分析も可能です。従来、営業のボトルネック特定のためにかかっていた時間を80%削減できます。
また、営業支援システムへの情報の入力をExcelライクに行えるSALESCORE Syncを活用することで、入力時間を60%削減することができます。
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営業フローとKPI設定に成功した企業の事例
株式会社クオーツは営業組織立ち上げのタイミングで、それまでインバウンドや紹介がメインだった営業活動を、アウトバウンド営業にシフトしようとしていました。
同社はまず細かくKPI設計を行い、メンバーの行動計画を見直しました。そして、SalesforceとSALESCOREでメンバーの行動を可視化し、そのダッシュボードを見ながら朝会・夕会時にボトルネックになっていることの解析や分析を行いました。
結果、営業だけでなく他のメンバーも進捗状況を確認・共有する文化できるとともに、4ヶ月で売り上げが2.5倍伸びました。
参考記事:行動を数字で可視化することで前向きで有意義な共有会が実現 売り上げも2.5倍に
まとめ
営業フローとは、営業活動における一連の流れと施策の詳細を具体化したものです。営業フローを可視化することで、進捗管理による営業活動の改善と対応漏れの防止が可能となり、さらに成功パターンの共有による再現性の確立と営業効率の向上が期待できます。営業フローの体系化を目指す方はセールスイネーブルメントツール「SALESCORE」の導入をご検討ください。
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