売上を向上させるKPIマネジメント方法とは。

企業が目標を達成するためには、そこに至るまでのプロセスを可視化し、その実現に必要な施策を具体化する取り組みが不可欠です。そして業務の進捗状況を定量的に管理するとともに、状況や環境の変化に応じて方向性を修正しなくてはなりません。そこで有効な手法となるのがKPIマネジメントです。

しかしながら、

・KPIマネジメントはしているが売上の向上に繋がらない
・自社のKPIマネジメントが適切かわからない

上記のようなお悩みのご担当者様も多いのではないでしょうか。

この記事ではKPIマネジメントの必要性やメリット、具体的な実践ステップなどを紹介します。

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INDEX目次

KPIマネジメントとは

KPI(Key Performance Indicator)とは、最終的なゴールへ至るために必要な中間目標地点の達成度合いを評価する指標のことです。日本語では重要達成度指標または重要業績評価指標と訳されます。KPIを設定する目的は、最終目標の達成に向けた各プロセスにおける進捗度を可視化するとともに、パフォーマンス評価の定量化を通じて戦略的な意思決定の最適化を図ることです。

そしてKPIの進捗状況を定量的に管理し、客観的な視点から評価・分析するマネジメント手法をKPIマネジメントと呼びます。

KPIマネジメントが必要な理由

KPIマネジメントは現代のビジネスシーンにおいて欠かせない手法のひとつです。KPIマネジメントが必要とされる理由として、以下のような項目が挙げられます。

ビジネス/市場の変化が激しいから

現代はデジタル技術の高度化に伴って製品や技術のライフサイクルは短命化し、また消費者・顧客ニーズの多様化によって市場の変化が加速している傾向にあります。そのような社会的背景の中で競争優位性を確立するためには、勘や経験といった曖昧な要素に依存しない体系化されたマネジメント手法が不可欠です。

KPIマネジメントは中間目標地点の達成度合いを定量的にモニタリングし、必要に応じて戦略を合理的に見直せるため、市場変動に伴うリスクを最小化できます。

生産性の向上が求められているから

日本国内では総人口の減少と高齢化率の上昇によって生産年齢人口が減少傾向にあり、多くの企業で人材不足が課題となっている状況です。その中で、企業が従来と同等以上の付加価値を生み出すためには、いかにして労働生産性を向上するかが重要です。

KPIマネジメントの導入によって各部門や個人の業績を定量的に評価する体制が確立することで、各施策における改善点の言語化・数値化が実現し、業務効率化による労働生産性の向上が期待できます。

属人性の排除が必要だから

企業が持続的な成長を実現するためには、業務の属人性を排除し、特定の個人にできる限り依存しない業務体制を整備する必要があります。例えば営業部門は、個人のスキルや性格的な特性に対する依存度が高く、属人化しやすい業務領域です。

KPIマネジメントの導入によって中間目標地点の達成度合いを評価・分析し、その過程で得られたナレッジを蓄積して組織全体で共有することで、属人的業務の再現性を高める一助となります。

営業の属人化とは

営業の属人化とは、営業活動に関する情報がチームに共有されることなく、担当者個人に依存した形で業務が行われている状態を指します。ここでいう「情報」とは、営業活動の進捗状況や顧客・取引先に関する情報はもちろん、成果を出すために有用なスキルやノウハウも含みます。

属人化が生じると、組織全体で安定した成果を出せなくなったり、情報共有の不備からトラブルが生じたりと、さまざまな問題が生じやすくなります。

参考記事:営業の属人化を解消する7つの方法。企業が陥りがちな属人化の対処法を解説

KPIマネジメントの前に知るべき2つの指標

KPIマネジメントを実践する上で欠かせない重要な指標が2つあります。それはKGI(Key Goal Indicator)とCSF(Critical Success Factor)です。

KGI

KGI(重要目標達成指標)は、事業活動における最終的な目標地点の達成度合いを評価する指標です。事業領域におけるKGIとしては、売上高・利益率・市場占有率などが挙げられます。先述したようにKPIは最終目標の実現に必要な中間目標地点の達成度合いを評価する指標であり、その最終的な目標に該当するのがKGIです。

CSF

CSF(重要成功要因)は、KGIを達成する上で重要な影響を及ぼす要因を意味する指標です。生産工程の効率化・業務のデジタル化・営業品質の改善・顧客満足度の向上などが該当します。最終目標であるKGIに基づいて成功要因であるCSFを具体化し、中間的な数値目標のKPIに落とし込む、という流れがKPIマネジメントの基本的な仕組みです。


KPIマネジメントのメリット

KPIマネジメントの導入によって得られるメリットはさまざまなものがありますが、特に行動の統一・明確化、プロセスの可視化、生産性向上の3点が挙げられます。

行動の統一と明確化

KPIマネジメントを導入することで、事業活動の方向性や人的資源の行動が一貫した目標に向けて統一されます。それによって、組織全体の行動が統一されることで全社横断的な情報共有や部門間連携の仕組みが体系化され、業務プロセスの合理化につながる点が大きなメリットです。

また、KPIマネジメントと人事評価制度の連携によって従業員の評価基準が統一され、目標の達成度合いを公正に評価できるとともに、評価者のバイアスを最小限に抑えられるという利点もあります。

目標達成のプロセスの可視化

KPIマネジメントはKGIの実現に至るフローを細分化し、言語化・数値化された中間目標に落とし込むことで、最終目標の達成に向けたプロセスを可視化できます。KPIの進捗状況を定期的にモニタリングすることで、問題点や改善点を早期に発見できる点が大きなメリットです。

それによってトレンドの変遷や顧客ニーズの変化、競合他社の動向などに応じて戦略・戦術を柔軟に修正できるため、最終目標の達成に向けた最適なアプローチを確立できます。

営業プロセスと営業フロー

営業プロセスと営業フローは同義と捉えられがちですが、厳密には異なる概念です。

営業活動は大きく分類すると、「見込み客の獲得とアプローチ」「ヒアリング」「課題解決のための提案」「クロージング」というプロセスを段階的に進めていくものです。この営業活動の骨組みといえる一連の工程全体を指して営業プロセスと呼びます。

それに対して営業フローは、営業活動の全体的な流れを体系化し、営業プロセスの各工程で実施すべきアクションを具体化したものです。たとえば「見込み顧客の獲得とアプローチ」では展示会の開催や初回アプローチの手法選定、「ヒアリング」や「提案」では質問項目やトークスクリプトの作成などが含まれます。

つまり、営業プロセスが「目次」だとすれば、営業フローは「各章の構成と具体的な内容」と言い換えられます。

参考記事:営業の流れの具体例をご紹介|営業効率を上げるコツは「可視化」にあった!

生産性の向上

先述したように、労働力が不足する現状においては生産性の向上が重要課題です。生産性は産出量÷投入量の数式で算出される指標であり、生産性を高めるには労働投入量を維持しつつ産出量を増大するか、労働投入量を削減しつつ産出量を維持しなくてはなりません。

営業の場合、前者の実現方法としては営業活動量の最大化や適切な目標管理、営業進捗の管理など、後者は移動時間の削減が挙げられます。

参考記事:営業生産性を向上させるには?生産性が落ちる理由と、向上の仕方

KPIマネジメントはKGIの達成に必要なアクションを可視化し、無駄を排除して能率化するとともに、重要度の高い業務にリソースを集中できるため、組織全体の生産性向上に貢献します。

KPIマネジメントの実践ステップ

KPIマネジメントを実践するには、以下のステップに沿って具体的な戦略や施策を策定します。

最終目標のKGIを設定

KPIマネジメントのファーストステップはKGIの設定です。参入市場の成長率や競合他社の動向、潜在需要、自社の財務状況などを総合的に分析し、その上で達成するべき最終的な目標を定めます。

KGIは営業戦略やマーケティング戦略の指針となる重要な指標であり、最終目標から逆算して中間目標地点となるKPIを設定します。そのため、KGIは曖昧かつ定性的な目標ではなく、「年間売上高:前年同期比プラス10%」のように具体的で定量的な目標設定が必須です。

KGIの達成に必要なCSFを設定

KGIを設定した後は自社の現状や課題を分析し、最終目標との間にあるギャップを可視化しなくてはなりません。そのギャップを埋める要素がCSFであり、その施策の達成度合いを評価するための指標がKPIです。

「年間売上高:前年同期比プラス10%」というKGIがあれば、「新規顧客の獲得」「既存顧客のロイヤルカスタマー化」「平均顧客単価の増大」「デジタルマーケティングの推進」といった要素が最終目標の達成に向けたCSFとなります。

中間目標の達成度合いを計測するためのKPIを設定

次に、KGIの達成に必要な中間目標となるKPIを設定します。例えばKGIで「年間売上高:前年同期比プラス10%」と設定した場合、それに対応する新規顧客獲得のKPIは「新規顧客獲得率:前年同期比プラス10%」を目指すことになります。そしてそのKPIを達成するために、さらに架電件数・アポイント獲得数・訪問件数・商談件数などに対する具体的な数値目標の設定が必要です。


    ▲KPIのイメージ図

KPIを設定する際に重要なことは、以下の6つです。

  • KGIに紐づいていること
  • 顧客目線で設計されていること
  • 営業がコントロールできる指標であること
  • 営業のプロセスが設計されていること
  • アクション単位までKPIになっていること
  • 定期的にKPIを設定しなおすこと

各項目の詳細については、以下のページで説明していますので、ご覧ください。

参考記事:成果の出る営業KPI設計方法をご紹介!強い営業組織の設計方法とは?

PDCAによる継続的な改善

KPIマネジメントは一回の実践で終わりではなく、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のPDCAプロセスを繰り返す継続的な改善が必要です。基本的な流れとしては、KPIマネジメントの計画に基づいて施策を実行し、進捗を定期的に確認しつつ状況に応じて修正・変更を加えます。

そして施策の成果を客観的に評価・分析し、仮説を立てて改善を施すというサイクルを繰り返すことで、計画の精度向上と持続的な成果が期待できます。

定期的な進捗確認は会議体を設けて行う

定期的な進捗確認を行う際は、朝会・夕会など会議体を設けることをおすすめします。会議体を設けることによって、進捗確認だけではなく、市場動向や競合他社の動き、ノウハウといった重要な情報を共有したり、各営業担当者の活動内容をレビューして改善点を議論したりすることができます。営業担当者のモチベーションを高める場としても重要です。

会議の効果的な進め方については、以下のページで詳しく説明していますので、ご覧ください。

参考記事:営業会議のムダを省いて効率化するための5つポイントをご紹介!

ツールの活用

先述したようにKPI設定後は、それらが実際に問題なく達成できているか進捗を管理していく必要があります。進捗管理を徹底することで、KPIと現状のギャップを客観的に把握し、目的達成に向けたモチベーションの強化や個々のアクションの工夫を促せます。しかし、手間がかかるため、挫折してしまうケースも多々あります。

参考記事:強い営業組織を作る7つのステップ!KPI設計から管理方法までを解説

そのような時に役立つのが、SALESCOREです。SALESCOREは、弊社SALESCORE株式会社が提供するSaaSです。業界・規模問わず、幅広いお客様にご導入いただいています。

SALESCORE Visualizeは、営業支援システムと連携した予実管理ダッシュボードで、ダッシュボードから目標(予算)設定し、営業支援システムを始めとした複数のソースと連携することで、営業プロセスやKPIを可視化するとともに、予実をリアルタイムで自動表示することができます。

さらに、標準進捗率(営業日の進捗)に対して、目標の達成率が上回っているか下回っているかで赤/青の色分け表示する機能があるため、進捗を一目で確認できます。

KPIの数値をクリックすると、集計元となるレポートが表示されます。そのため、各案件の詳細について正確に把握できるとともに、それらの一次データを基に適切な改善策をその場ですぐに考え、アクションに移すことができます。

SALESCORE Visualizeは現状を把握できるだけでなく、入力されたデータを基に分析することも可能です。UI上でグラフやピボットを用いた高度な分析ができ、従来営業のボトルネック特定のためにかかっていた時間を80%削減できます。

また、営業支援システムツールへの情報の入力をExcelライクに行えるSALESCORE Syncを活用することで、入力時間を60%削減することができます。そのため、営業が本質的な活動に時間を割さけるようになります。加えて、営業データの増加にも貢献します。

詳しくはこちらをご覧ください。

参考:SALESCORE

KPIマネジメントを実践した企業の事例

株式会社YOUTRUSTは、SALESCOREを活用しながらKPIマネジメントを実践した結果、2ヶ月で受注率が6pt向上し、リードタイムが約半分になりました。

同社はキャリアSNSおよびネットワークリクルーティングサービス「YOUTRUST」の開発・運営を行っています。当初、売上や受注数、商談数といった結果指標しか終えておらず、営業組織の人数が増えるに伴い、ブラックボックス化した状態を解消する必要がありました。

手始めに、半年〜1年後の採用ニーズをヒアリングしておくことが受注率向上につながるのではないかと考え、「半年〜1年後の採用ニーズをヒアリングできた率」というKPIを置くことにしました。結果、このKPI数値は向上しましたが、受注にはつながりませんでした。

そこで、各営業メンバーから受注理由と失注理由をヒアリングし、「契約予定日を合意した率」「承認予定日を合意した率」「上申予定日を合意した率」というKPIを置いてみることにしました。

このKPIは、お客様がサービス価値に同意してくださった場合、その後のステップには「上申→承認→契約」がありますが、これらの予定日を合意いただくことで受注までスムーズに進むのではないか、という仮説から生まれました。

結果、3つのKPIの数値が向上するとともに、受注率も6pt上がりました。また、平均20日前後だったリードタイムが約半分の9日にまで縮まりました。この受注率のは数値の短期的なブレではなく、3ヶ月以内の受注率も安定して5pt程度向上しています。

   ※SALESCORE Visualizeの画面イメージ

参考記事:【深堀記事】YOUTRUSTが2ヶ月でリードタイム半分、受注率6pt向上した方法を聞いてみた

よくある失敗例

KPIマネジメントは、導入することよってさまざまなメリットを得ることができます。しかし、適切に運用・管理されなければ、上手く機能しません。

KPIマネジメントを実施するにあたってよくある失敗例をご紹介します。

実現可能性を考慮せずにKPIを設定している

設定したKPIが実現可能かどうかを考えず、これぐらいならば達成できるだろうと、安易に設定することは、失敗につながる要因のひとつです。組織や個人の能力をはるかに超えた実現困難なKPIを設定してしまうと、当然達成できず、モチベーションも低下してしまいます。

まずは、組織や個人の能力を正しくはかり、実現できる根拠を示せるような現実的な落とし所を探りましょう。

営業課題・自己課題を十分に分析せずにKPIを設定している

営業実績の背景や、営業チームとそのメンバーが抱える課題について、行うべき分析を中途半端な形で終わらせると、市場動向や自社の課題を正しく把握できません。その結果、非現実的なKPIが設定されてしまいます。

課題の分析はしっかりと行い、自分自身や営業チームが有する強み・弱みを理解して、適切なKPI設定を行いましょう。

KPIの粒度が粗いため未達の要因が定量的に把握できない

中には、とにかくアポイント獲得数や商談件数を重視したKPIを設定している企業もあります。このような場合、営業が「とりあえずアポイント取っておこう」という思考になってしまい、温度感の低いアポイントが増え、結果的に案件化に繋がらず、受注率が下がり、その結果目標が未達になってしまうことが多々あります。

これはアポイント獲得数や商談件数しか設定されていないなどKPIの粒度が粗く、営業がどのようなアクションをとったのか、どのようなアクションをとればいいかが分からない状態(ブラックボックス)になっていることによって起こります。そのため、目標を達成することができなかった際に、どこを、どのように改善したらよいかを見極めることができません。

営業プロセスのみをKPIとして設定している場合も同様です。

架電数からのアポ率や、アポ数からの案件化率など、「数」と「率」どちらも意識して改善できるよう、より解像度高く掘り下げてKPIを設計する必要があります。

KPIを設定する際は、KGIを達成するために必要な営業プロセスを細かく分解し、達成までの道筋が具体的に見えるようプロセスKPIを設定するとともに、各プロセスKPIを達成するためにはどのようなアクションが必要なのかをしっかり考え、適切な粒度でKPIを設定しましょう。

参考記事

適切な営業目標の立て方をご紹介!|納得感に違いが現れる営業目標とは

成果の出る営業KPI設計方法をご紹介!強い営業組織の設計方法とは?

まとめ

KPIマネジメントとは、最終的なゴールへ到達するために必要な中間目標の進捗を管理し、客観的な視点から評価・分析するマネジメント手法です。特に営業部門では属人性の排除や生産性の向上を目指す上で重要な取り組みとなります。

KPIマネジメントの効果を最大化し、営業部門のパフォーマンスを向上するためにはツールの活用が有効です。営業組織の再現性を実現するセールスイネーブルメントツール「SALESCORE」の導入をご検討ください。

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