BIツール導入前に知るべきポイント

「データを見るためにBIツールを導入することが決定したが、どんなツールを導入すればいいのかわからない」
「BIツールというもので何ができるかわからない、自社で活用できるか不安」

データサイエンティストなどの専門職も増えているように、データを可視化するBIツールも数多く存在し普及しています。インターネットで検索をすると、BIツールに関する情報が溢れていて、どのツールを導入すれば良いかわからないことが多いと思います。

わかりづらいですがBIツールにも一つずつ特徴があります。 この記事ではBIツールの導入時に陥る失敗や自社に合ったBIツールを導入するために必要なことを整理してお伝えします。

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INDEX目次

BIツールとは

BIツールとはBusiness Intelligence(ビジネスインテリジェンス)ツールの略称で、あらゆる情報を可視化し、意思決定の支援をするシステムとなります。業種や業界を問わず、データを多角的に集め・加工し・可視化をして次のアクションにつなげる役割となります。

例えば、営業部門であれば自身や組織の売上予算状況を可視化したり、保有している商談を一覧で見て、目標達成のために必要なアクションを実施するための参考にしたりします。

その他にも様々な用途で活用されており、例えば人事部では、個人の適性やモチベーションなどの情報を活用して、社員を最適配置するようなピープルアナリティクスの領域で活用することもできます。

企業の活動で蓄積されるあらゆる情報を用いて可視化・意思決定に活用できることができるのがBIツールです。

BIツール導入時によくある失敗例

 ではBIツールを導入する時にどのような観点が必要でしょうか?ここではよくある失敗例をご紹介します。これから紹介する4つの失敗例は過去の経験上、10社ある内に8社ほどで起きうる観点になります。ぜひ確認の上対策を打ちましょう。

よくある失敗例1.製品の比較検討ができてない

BIツールの数は50種類以上あります。また、各メーカーが作る比較表は自社に有利な説明をするため機能差や特徴が掴みづらいです。導入を検討する際におすすめな方法として「PoC(試使用)」があります。多くのBIツールは2週間ほど無償で製品を試すことができるのでその中で問題なく動作するかを確かめてみましょう。また膨大な製品の中から候補を選定する際の方法は本記事の中で後述します。

よくある失敗例2.ユースケースの解像度が甘い

 「社内にデータがあるのでとりあえず可視化してみたい。」「競合他社がやっているKPI指標をモニタリングしたい。」などのふわっとしたニーズからBIツールの導入を検討するケースが多いです。その場合、いざ導入したものの、「このデータをどう活用するのか決まっていない。」「KPIは出したいが要件を定義できない。」などの問題が発生し、活用されないケースがあります。事業への理解が詳しい人とデータへの理解が詳しい人がタッグを組みユースケースを設計していきましょう。

よくある失敗例3.活用する前の「データの準備」ができていない

 BIツールの製品紹介ページや事例ページには多くの活用事例が載っています。その例を見て、自社でも活用出来そうということで導入するケースがあります。しかし、いざ導入してみると「データが整っていない。」などの準備不足なケースが多いです。導入する時には自社のデータですぐにデータを活用できるか確認することをおすすめします。

よくある失敗例4.利用者の意見をくみ取れていない

 BIツールを導入したい推進者がイメージするユースケースがあっても、実際にそのグラフをみて、アクションを起こすのは別の担当者などのケースがあります。その時に利用者の意思決定やデータの活用方法を把握せず導入してしまうケースがあります。きちんと利用者の意見を汲み取れないと全く活用されず失敗に終わってしまうことがありますので利用者と意見交換をしながら導入しましょう。

BIツールの分類とおすすめの企業

次にBIツールをわかりやく3つに分類して、その分類ごとにBIツールが合う企業をご紹介します。初学者の方は自社に合うBIツールの種類からBIツールを選定することをおすすめします。この分類と特徴を理解するだけでも50種類以上あるBIツールから数種類のBIツールに選定対象を絞り込むことができます。

推奨するBIツールの分類は以下になります。
(分類方法は諸説ありますが、ここでは導入選定時にわかりやすい分類)
(各分類の特徴を持ち合わせいるツールについては一番特徴となる分類を採用)

・無償ライセンス型

・有償セルフサービス型

・有償エンタープライズ型

それぞれを解説していきます。

無償ライセンス型

metabaseやredashなどに代表される無償ライセンス型ツール。
office365の一定のエディションにセットで付属されているなど実質無償で使えるツールも存在する。

無償ライセンス型

説明

ユーザーライセンス無償で活用できるツール。ソースコードを無償公開するOSS型が基本。GoogleやMicrosoftが提供するツールもある。

価格機能

利用料金がかからないためカジュアルに利用することができる。

代表ツール

redash、metabase
※PowerBI Looker Portal

おすすめ企業/組織

・スタートアップベンチャー企業
・ソフトウェア開発チームでスモールスタートしたい組織
・Google Cloudやoffice 365を導入済みでデータ可視化を開始する企業

NG企業

・セキュリティ要件が厳しい企業
・BIツールの活用レベルが高い企業
・社員のデータリテラシー/スキル向上が必要な企業

この種類のツールを導入する時に気を付けるべきポイントは以下の通りのためデータを扱える人材が1人以上社内にいることが望ましいです。

1.データを扱えるスキルが必要

 BIツールを導入するためには社内のデータを連携する必要があります。データの種類によっては少し複雑なデータ接続の設定が必要な場合もあります。データの構造などを把握した上で導入をしないと誤ったデータを表示してしまうことなどもあるため、データを扱えるスキルが必要です。スキルをこれからつける必要がある場合は扱いやすく、ナレッジも豊富な有償ツールがおすすめです。

2.サポート体制やナレッジが少ない

 無償ツールはカジュアルにデータ可視化をスタートできますが、製品の問合せできる窓口がないことがほとんどです。操作自体は簡単なため、慣れると扱えるようになりますが、普段の多忙な業務の合間にBIツールのスキルを習得することが難しいという声も多いです。また、何かわからないことがあった時にインターネット上に情報が少なく導入が進まないこともあります。さらに、既知のバグの更新もあまり期待できないため、活用レベルが高い企業の要件を満たさないこともあります。

3.セキュリティ要件を満たさない可能性

 無償のBIツールはセキュリティ方式が非開示であったり、セキュリティ関連の認定を受けていないケースがあります。上場企業や情報システム体制が整っている企業では、導入ができない場合が多いです。

4.データ量上限など機能的制約

 製品にもよりますが、一定以上のデータ量を扱う場合は、有償版に切り替えが必要な製品も存在します。そのため本格導入を決断する前に、試しにツールを検証してみて、社内の要件を満たせるか確認することをおすすめします。

有償セルフサービス型

Tableauに代表されるような近年多くの企業で採用されているBIツール。

データ活用初学者にも優しく、マウスの簡単なクリック操作のみでもグラフ群を作成することができます。初学者がデータ活用を開始するのに最適です。

有償セルフサービス型

説明

マウスの簡単なクリック操作のみでもグラフ群を作成可能。データを準備する操作も簡単でガイド機能が豊富。

価格機能

ユーザー数に応じた課金体系を採用しているケースが多い。
機能は豊富でアップデートも毎年行われる。

代表ツール

Tableau、Qlik Sense Exploratory

おすすめ企業/組織

・BIツールの活用レベルが高い企業
・セキュリティ要件が厳しい企業
・社員のデータリテラシー/スキル向上が必要な企業

NG企業

・BIツールをコード管理していきたい企業
・データ活用のロードマップがない企業

この種類のツールを導入する時に気を付けるべきポイントは以下の通り。導入までは簡単に進行するが、活用レベルを上げていけるかが鍵となる。

1.製品の機能を活用しきれない

 有償セルフサービス型のツールは機能が豊富です。しかし多くの企業ではよくあるグラフ群を公開するだけになっています。つまり無償ライセンスのツールでもできることを費用を払って実施している状態です。例えば閾値を超えるとSlackで担当者に通知することが簡単に出来たりします。BIツールを活用するためのドキュメントやサポート体制が充実しているため導入する場合は使いこなすようにできると良いと思います。

2.ベンダーロックインされやすい

 少し専門的な話ですが、一度BIツールを導入すると上手く活用できていなくても中々、別の製品に移行ができない可能性があります。理由としては、セルフサービス型のBIツールの多くは、独自の言語や設計を採用しており、作成したグラフやデータロジックが引き継げないためです。そのためできるだけ導入を慎重に行うと良いと思います。

3.社内システムとの役割分担が難しい

 セルフサービス型のBIツールはデータ連携機能やプレゼンテーション機能などデータの上流から下流までの機能を有していることが多いです。一方でデータ連携やプレゼンテーションの機能が未成熟な場合があります。中途半端にプレゼンテーション機能などを使うと、人によってパワーポイント、人によってBIツールのプレゼンテーション機能を使うなど社内で活用するツールが増えてしまい、利用者の情報認知負荷が大きくなってしまいます。できるだけ社内の他のシステムと重複する機能を使う時には慎重になると良いと思います。

4.ツールごとの特徴がかなり異なる

 Tableauは分析サポート機能や作りやすさが強み、QlikSenseはデータ探索が強み、Exploratoryは統計機能やデータラングリングに強みがあります。自社にとって特に重視したい点が一致するツールを導入することをおすすめします。

エンタープライズ型

最後はエンタープライズ型です。全社員が使うことを目的としたBIツールです。初期の導入コストが高めで、全社員で共通の指標を参照することに向いていますが、各個人が自由に分析することが苦手です。

エンタープライズ型

説明

全社員が使うことを目的としたBIツール。データ共有に強みがある。

価格機能

導入時の最小単価が比較的に高い。データを共有するための機能が豊富。

代表ツール

MotionBoard、DOMO

おすすめ企業/組織

・従業員数が多い大企業
・BIツールを運用する人員を用意できる企業
・KPIなど全社指標を可視化したい企業

NG企業

・BIツールに多額の費用を投入できない企業
・BIツールの運用人員を確保できない企業
・各人がセルフサーブに分析したい企業

1.セルフサーブの分析が難しい
 
エンタープライズ型のBIツールで作成したアウトプットを参照している時に詳細なデータを確認したい、別の観点でのデータも見てみたいということがよくあります。セルフサービス型のBIツールでは、その場で1ステップでデータの切り口を切り替え、示唆を出すことができるのですが、エンタプライズ型ではその場ですぐに切り口を変えることが難しいケースが多いです。都度開発者に依頼が必要になるためデータ探索をする場合は不向きになります。

2.費用と人員などのリソースが必要
 エンタープライズ型のBIツールは全社員で同じ指標を見るために活用することが多いため「最小ロット50ユーザーから」などの体系が多いです。そのため1000万近くの費用が最初からかかることがあります。一方でユーザー課金ではない場合、従業員規模が多い企業だとセルスフサービス型のBIツールよりも安く導入できることもあります。エンタープライズ型BIツールは製品仕様から、都度利用者の依頼を受けて開発者がシステムを改善していきます。そのため専門的な開発スキルがある開発者が必要です。開発ベンダーや業務委託の方をセットで導入している企業も多いです。

まとめ

BIツールの導入前に知るべきポイントについてご理解いただけましたでしょうか?

前述の3つの分類と特徴から自社にあったツールを選定し、導入前によくある失敗ポイントを確認いただけるとBIツールの導入が成功に近くのではないかと思います。

導入時のよくある失敗例にもあるようにユースケースの理解も重要になります。

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