「トップパフォーマーと同様に商談をクローズさせるための、案件管理方法とは?」

「部下が受注予定と言っていた案件が失注することがよくある」
「商談フェーズがなかなか進まず滞留案件が多い」

といった悩みを持たれている営業組織の責任者や経営者の方は多くいらっしゃいます。

そこで、本記事では「トップパフォーマーと同様に商談をクローズさせるための案件管理方法とは?」について解説します。

本記事を読んでいただくと、

・適切な商談フェーズにもとづいた案件管理
・トップパフォーマーナレッジの平準化方法

について理解でき、すぐに実践することができます。

適切な案件管理をしてサプライズ失注を減らしたい方や、トップパフォーマーが持っているナレッジを平準化して営業組織全体の受注率を増加させたい方は、ご一読いただければ幸いです。

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INDEX目次

適切な案件管理による属人性の排除

前章では全員が売れるようになるための要素や、それをどのような手順で仕組化していくかということについて説明しましたが、本章でお伝えする「案件管理」もまた、売上につながる重要なポイントです。

まずは一般的な企業が案件管理において陥りやすい課題についてお話ししたいと思います。

一般的な企業が陥る案件管理における課題

案件管理について課題を抱えている企業は多く、代表的なものは以下の3つです。

①フェーズが序盤から進まなかったり、終盤で停滞しまう

 ✔ 適切な案件の進め方がわからない

 ✔ 受注に至るまでの青写真を描けていない

 ✔ 案件を先に進めるための動きができていない

②想定していた通りに案件が進まず、サプライズ失注が発生する

 ✔ 受注予定で呼んでいた案件が突然失注になる

 ✔ 営業担当の主観で受注のヨミをしている

③真の失注理由が分からない

 ✔ 「優先度が低い」「時期尚早」などの失注理由が多い

 ✔ 本当はニーズや課題についてお客様と合意できていなかった

どれも案件の状態を正しく把握できていないために起こってしまう課題です。

このような課題を解決するためにも、適切に案件を管理していきましょう。

適切な案件管理ができている状態とは?

”適切な案件管理ができている状態”とは、どのような状態なのでしょうか。

―それは「案件を受注するまでの進捗が適切に可視化されており、その状況に対して遅延なく最適なアクションが実行できている」状態です。

このような状態で適切に案件管理できるようになると、3-1.で紹介した①~③のようなことが起りにくくなるので、受注率の増加が見込めます

トップパフォーマーも実践する案件管理方法

前述の通り、”適切な案件管理ができている状態”とは下記2つの条件を満たしている状態のことを言います。

・進捗が適切に可視化されている

・遅延なく最適なアクションが実行できている

では、どのような手順で進捗を可視化し、アクションを実行していけばよいのでしょうか。

次で詳しく説明していきたいと思います。

カスタマーパスを活用した進捗の可視化

下記の3ステップで進捗を可視化します。


Step1  カスタマーパスを設定する
Step2 パス進行条件を作成する
Step3 CRMに反映する

それでは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。

■Step1:カスタマーパスを設定する


カスタマーパスとは「顧客の意思決定プロセス」を言語化したもので、お客様がサービス等を購入する際にどのような意思決定をおこなうのかを「目的(ニーズ)の顕在化」→「目的に対する課題整理」→「課題解決に向けた戦略の決定」→「戦略実現に向けた戦術の決定」→「戦術実行の意思決定」の順に定義を考え、パスを設定していきます。

このとき、「商談の見極め」→「課題の特定」→「初回提案」→「具体提案」→・・・

のように、営業組織にすでにある営業主体のフェーズをもとに考えると失注が多くなってしまいますので、「自分がお客様だったら各パスでどのように考え、判断するか」といった具合にお客様目線で設定しましょう。

また、上の図はカスタマーパスの一例です。

カスタマーパスは提供しているサービスや顧客層、業界等によって異なります。

自社に合ったカスタマーパスを考えることが大切です。

※カスタマーパスについての詳しい説明や設定方法についてはこちらの記事をご覧ください。


設定したカスタマーパスをSFAの案件フェーズに反映させる際は、上の図のようにカスタマーパスの前後に営業サイドで作成している案件フェーズと合わせて使うと分かりやすいです。

■Step2:パス進行条件を作成する


カスタマーパスを設定したら、各パス毎に次のパスに進む際に満たしておくべき条件(=パス進行条件)を作成します。

これを作成していないと、営業同士で話す際に共通認識を持ちづらくなってしまいます。

非常に重要なので、丁寧に設計しましょう。

では、どのようなパス進行条件を設定するといいのでしょうか。

例えば、皆様が名刺管理ツールを入れるかどうか悩んでいる(=「課題解決に向けた戦略の決定」のフェーズにいる)企業担当者だった場合、どのような判断材料があれば、自信をもって「名刺管理ツールを入れよう!」と決断をくだすことができるでしょうか?

多くの方が名刺管理ツール以外に解決方法がないか調べたり、各解決策を導入したことによって得られる効果やかかるコストなどについて比較検討したりするかと思います。

このように、各パスにいるお客様が納得感をもって意思決定できる状態かどうかを営業が確認できるようなものをパス進行条件として設定するとよいでしょう。

パス進行条件を設定すると、

「このお客様は他の解決方法(戦略)があることは知っていたけれど、詳しくはなさそうだったから、各戦略のメリット・デメリットについて情報提供をしてみよう」

など、各パスにいるお客様に対して営業がすべきことも自然と見えてきます。

以上のように、同一の案件に対してどの営業も同じことが言えるもの、共通の物差しとなるようなものを条件として各パスに設定し、進捗状況を可視化しましょう。

■Step3:CRMに反映する


最後に、策定したパスやパスの進行条件をCRMに反映し、進捗管理していきましょう。

各パスの進行条件として設定した事柄について、お客様と共通認識をもつことができていたら、そのことを所定の場所に記載していきます。

そのときはお客様と共通認識をもっていたと感じていても、実はある部分についてお客様と営業で解釈のズレが生じ、それが失注等の原因になることがあります。

そのような場合に、CRMにしっかりと記録を残していると振り返ることもできますので、できる限り詳細に記録を残しておくといいでしょう。

また、案件の進捗管理についてかなり力を入れている企業では、パス進行条件のところに記載した内容に応じて、SFAのフェーズ部分が自動的に変わる設定にしていることもあります。

社内でカスタマーパスをもとに議論する文化が十分に醸成されている場合は、そのような取り組みも有効だと思います。

そうでない場合は、まずは営業組織の全員が共通の物差しで進捗状況を把握し、議論できる状態を目指しましょう。

遅延なく最適なアクションを実行するためにすべきこと

適切な案件管理ができている状態にするためには、遅延の無い最適な行動をとる必要があります。

では、ここで言われている”最適な行動”とは、どのような行動なのでしょうか。

簡潔に言うと、お客様に提供すべき情報を提供することです。

「そんなことは分かっている!」という声が聞こえてきそうですが、営業は日頃からたくさんの業務を抱えているので、十分にできていないときもあるのではないでしょうか。

そんな忙しい営業がお客様に過不足なく情報提供するために取り組むべきことを下記にまとめました。

・宣言と振り返りのための会議体を設置する

・個別の案件のレビューをする

・全体の数値を確認する

・ISとFSのすり合わせに利用する

・フォーキャストの精度を向上させる

特に「案件レビュー」と「全体数値の確認」は重要ですので、もう少しお話ししたいと思います。

■案件レビュー


案件レビューとは、マネージャーなどの第三者が各営業が抱えている案件の基本情報や進捗、アクションの抜け漏れ、受注見込度等を把握・アドバイス等することで、案件を管理していく方法です。案件確認や営業ヨミなどと呼んでいる会社もあります。

以前、営業組織が強い企業のトップセールスはどのような案件レビューをしているのか気になり、インタビューしたことがあります。

例えば、案件レビューをするときに「今、稟議申請中です」と営業がマネージャーに報告してきた場合、下記のようなことを質問するそうです。

・稟議とは形式上の稟議なのか

・通常ならいつ頃稟議が通るのか

・お客様は急いでくれているのか

・この日までに買ってもらわないとすぐに納品ができないことを伝えているか

・この金額で買えるのはこの日までということを伝えているか

・止まるとしたらどこで止まるのか

・過去売れている案件の場合、何日で稟議が通ったのか など

このことを聞いた当初は「稟議」というフェーズに対してこれだけの質問をするということに驚きましたが、サプライズ失注を防ぐためにはお客様の状況をこのくらい細かく徹底的に把握しておく必要がありますし、これが遅延の無いアクションにつながると思いました。

■全体の数値確認


2-3-1で設定したで設定したカスタマーパスをもとに売上につながるKPIを設定し、自分だけでなく、他の営業メンバーの実績値の推移を確認することを「全体の数値確認」と呼んでいます。

ここでポイントなのが、”他の営業の数値と自身の数値を見比べる”ことです。

他の営業と比べることで自分の苦手な箇所がよりわかりやすくなるのはもちろん、自分の苦手な箇所の数値が良く得意としているメンバーがいれば、何をしているのか聞きに行ったり、マネージャーに練習してもらったりと改善のためのアクションを営業が自主的にとれるようになります。

上の画像は弊社のSaaSツール「SALESCORE Visualize」の営業進捗管理の画面の一部です。このように、各営業の各KPI(目標値)と実績値、目標値に対する実績値の割合、次のパスへの移行率等を可視化し、常に見れる状態にしておくと全体の数値確認がしやすく、定着しやすいです。

例えば、佐藤一郎さんの数値を見ると戦術実行の意思決定のパスで未達が起きており、このことからお客様に競合に対してROIが悪いと判断されている可能性があることがわかります。

そのため、佐藤さんは戦術実行の意思決定の部分で良い結果を出している営業メンバーに聞きに行ったり、マネージャーに練習やアドバイスを求めたりするといいでしょう。

まとめ

今後、日本企業が生き残っていくためにはセールスイネーブルメントに取り組んでいく必要があります。

その中でも「案件攻略」はダイレクトに売上につながるため、非常に重要です。

本記事を参考に適切に案件管理をおこない、全営業パーソンが売ることができる強い営業組織を目指しましょう!

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