強い営業組織の文化として必要な5つの要素 ~実行編~

前回の記事では、強い営業組織の文化をつくる際に役立つフレームワーク"5 Standards Model"の要素の1つである「計画」について解説しました。 詳しくは「強い営業組織の文化として必要な5つの要素 ~計画編~」をご参照ください。

営業の質を高めるためには、今までコツコツと記録してきたデータをもとに精度の高い計画を立てることが大切です。

しかし、どんなに綿密に計画を立てても、実行に移さなければ結果を出したり、立てた計画の良し悪しを正確に判断したりすることはできません。

本記事では5 Standards Modelの要素の1つである「実行」について詳しく解説します。ぜひご一読ください。

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INDEX目次

5 Standards Modelにおける"実行"とは

「実行」とは、立てた計画をどれだけ実行に移せているかという徹底度の水準です。

この「実行」においては、宣言したことを100%実行している状態が理想です。

そのため、次のような場合は改善の余地がある状態となります。

①宣言したことに対して、実行したことが少ない場合

②宣言したことに対して、実行したことが多い場合

①は事前に設定されているKPIを達成できなかった場合で、実行の徹底度が低い状態です。

そもそもKPIは、前回の「計画」の際に過去の実績データに基づいて実現可能な水準で設定されます。

そのため、KPIが未達だったということは営業が努力して”やればできるはずのことが、できていない”ということになります。

以前の記事でお伝えしたように、売上を上げ続ける強い営業組織の文化をつくるためには、定められていることを達成するのは”当たり前”という空気を醸成することが重要です。

一方②は、1日に50件を架電目標としていながら100件/日ペースで架電をするなど、実際よりも低く見積もった目標を立て、実行している場合です。

一見、目標よりも多くの実績を上げているので良いことだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、見方によっては目標の精度が低い状態と言うこともできます。

売上を上げ続ける強い営業組織では、達成不可能な目標にならない範囲で営業が現状に満足することなく、常に難しい目標を追いかけています。

そのような状態になるよう、「計画」を見直す必要があります。

以上のように、5 Standards Modelの「実行」では宣言したことを100%実行している状態を目指して取り組んでいきます。

では、営業全員が宣言したことを100%実行している状態にするためには、どのような取り組みが必要でしょうか。

実行の徹底度は可視化されづらく妥協しやすいため、「宣言→実行→報告」のサイクルを回せる仕組みをつくることが大切です。

例えば、朝会・夕会などのような会議体を設けるのも1つの方法です。

まずは朝会で「今日は5件のアポを取るために50件電話します。」と営業に宣言させ、

夕会で「50件電話しましたがアポは4件でした。アポ1件あたり13本電話が必要と分かったので、今度は5件のアポを取るために65件電話します。追加の電話時間は●●で捻出します。」など、実行後の報告をしてもらうといった具合です。

このように会議体を設けることで徹底度が可視化され、どの程度徹底して実行できているか営業自身が再認識し、振り返る良い機会になります。

加えて、マネージャーが各営業の実行の徹底度を把握し、助言等をしやすくなるため、以降の営業の実行の徹底度をさらに高めていくことができます。

ここで重要なことは十分に実行できなかった際、”詰める”のではなく

  • なぜできなかったのか
  • できるようになるためにはどういう工夫や改善をすればできるようになるのか

まで考えることです。

これは営業だけでなく、マネージャーも同様です。

特にマネージャーは立場上、各営業の行動を「管理」するという意識を持ちやすいですが、このような認識を持っていると言動の端々にそれが感じられ、営業が反発心や苦手意識を持ってしまう可能性があります。

細かいことにはなりますが、営業の行動を束縛したい、管理したいということが目的というよりは、各営業の現状を細かく把握することによってどうすれば売上を上げることができるかを一緒に考えていくというスタンスでいることがマネージャーにとってとても重要です。

以上のように、実行の徹底度を可視化し、「宣言→実行→報告」のサイクルを回すことができる工夫を考えてみましょう。

事例

実行の徹底度が高いある会社では、アポをキャンセルされたときのためのリストを事前に準備しているということを聞いたことがあります。

架電等でアポがとれても、「やっぱりナシで」とキャンセルされることも度々あります。

そのような事態も想定した上で、アポキャンセル用のリストを訪問時に持って行ったり、タウンワーク等を使ってアポをとったりと、イレギュラーな事態が起こったとしても「何としてでも目標を達成する!」という意気込みで取り組んでいたそうです。

また、Zoominfoという会社では、リード(問い合わせフォームから連絡)が来てから絶対90秒以内に電話することを徹底しておこなっているそうです。

しかしながら、McKinsey & Companyの「日本の営業生産性はなぜ低いのか」(2021年)によると、リード流入から5分以内に電話をかけた場合と、10分でかけた場合とでは、後者の方が顧客とコンタクトできる確率が約400%下がることがわかっています。

さらにZoominfo自身が以前、アメリカの他社がどれだけのスピード感で電話をしているのかを調査したところ、平均で24時間後だったそうです。

以上のことを踏まえると、Zoominfoの90秒というのはアメリカのどの企業よりも早く、コンタクトがとれる可能性が高いタイミングだと言えます。

このようなデータに裏打ちされたアクションを徹底的に実行することで、実際にZoominfoは現在すごい勢いで成長しており、今では時価総額95.98億ドル、海外でも有数の営業が強い会社になっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では5Sの要素の1つである「実行」について解説しました。

営業の質を高め、強い営業組織をつくるためには実行の徹底度を高める必要があります。

そのためには朝会・夕会などの会議体を設置し、実行の徹底度を可視化して「宣言→実行→報告」のサイクルを回すことができる仕組みをつくりましょう。

そして、”やればできること”は必ず達成し、現状に満足せずより高い目標を追いかけていくのが組織の当たり前であるという認識に変えていくことが重要です。

次の記事では5Sの最後の要素である「吸収」について詳しく解説します。

ご興味のある方は是非ご覧ください。

次の記事はこちら

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