いち消費者である私たちは何か商品やサービスを購入するとき、購入金額の上限を考えたり、いろいろな会社の商品を比較してどの商品にするかを決めたりするなど、さまざまな思考を重ねた上で購入しております。
その思考の過程を言語化したものを「カスタマーパス」と言い、案件管理やKPI設計、顧客アプローチ戦略設計の際に役立つことや、実際のカスタマーパスの設計方法を前回の記事でご紹介しました。
詳しくは「受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part.1」をご参照ください。
本記事では、カスタマーパスの設計方法の続きを説明していきます。
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課題解決に向けた戦略の決定
前フェーズ「目的に対する課題整理」で取り掛かるべき課題がわかったら、
どうすればその課題を解決できるのかを考え、解決策の方向性を決定するフェーズに進みます(課題解決に向けた戦略の決定)。
仮に、皆様が案件管理がうまくできていない企業の担当者だったとします。
その場合、まずがなぜ案件管理がうまく行ってないのかを確認すると思います。
具体的には
- リアルタイムに数値(営業の実績値など)が把握できていない
- 顧客へのフォロー漏れ
- 案件目標と実績の差分と見込みが把握しにくい
- 営業活動に関する分析をする際に時間がかかってしまう
などが課題として挙げられるかと思います。
その上で、上記の課題を解決するために具体的には、
- BIツールの導入
- SFA(営業支援システム)の導入
- Excelでの管理
- 人のオペレーション(口頭での伝達など)
などが出てくると思います。
それぞれのツールなどにメリット・デメリットはあると思いますが、顧客がBIツールに興味があり、そのBIツールを利用して課題を解決したいと思ったとします。その場合は最後に「解決手段がBIツールでなければならない理由」を考えるでしょう。
■SFAよりもBIツールの方が
- 複数のデータベースを一元管理できる
- UIが分析に適している
- 連携しているツール間でデータを共有し、活用できる
- 2階層以上のデータを掘り下げて分析することができる
- SFAより操作しやすい
- 高度な計算が可能 など
■ExcelよりもBIツールの方が
- 1階層以上のデータを掘り下げて分析することができる
- 最新のデータをリアルタイムで見れる
- データ量が増えてシートが重くなることがない
- 人為的ミスが発生しにくい
- データ収集に時間がかからない など
■人のオペレーションよりもBIツールの方が
- 最新のデータをリアルタイムで見れる
- データが正確
- 抜け漏れが発生する可能性が低い
- データに基づいた客観的判断ができる
- データ収集に時間がかからない など
▲課題解決に向けた戦略の決定についてまとめた表の例
以上のように、「課題解決に向けた戦略の決定」のフェーズでは、最優先で取り組みたいと考えている課題を解決するにはどの方法が適しているのかを明らかにし、課題解決のための戦略(今回の例ではBIツールの導入)を決定します。
具体的にどの会社の、どのサービス等を使って解決するのかといった具体的なことは、
次の「戦略実現に向けた戦術の候補決定」以降で検討していきます。
戦略実現に向けた戦術の候補決定
前フェーズ「課題解決に向けた戦略の決定」で、現在顧客が抱えている案件管理に関する課題はBIツールを活用して解決していった方が良さそうだということが分かったので、その課題を解決するのに適したBIツールを検討していきましょう(戦略実現に向けた戦術の候補決定)。
このフェーズでは、自社と競合するBIツールについて考えます。
まずは、自社と競合するBIツールを列挙し、特徴を書き出します。
このとき、自社のサービスと比較して競合の優れている部分を書き出すのではなく、競合サービスの特徴をすべて書き出しましょう。
例えば、
【サービスAの特徴】
- 他のツールとのシームレスな連携
- グラフの種類が多い
- ドリルダウンが容易にできる
- 連携できるサービスが多い
- 自動で分析してくれる
- 利用者が多く調べたらすぐその製品に関する情報が手に入る
- 自社に合った使用方法を教えてくれる など
【サービスBの特徴】
- グラフの種類が多い
- 誰でも使える操作性
- 全社のデータ分析がし易いなど、情報の集約性が高い
- ユーザー数が多い
- コミュニティがある
- SaaS製品に取り込める
- 比較的価格が安く、無料から使える
- 多くの会社で使用されているため、操作スキルに価値がある
- ブランドの信頼性、実績がある
- セキュリティが高い など
戦術実行の意思決定 ~競合優位性を考える~
最後に、前フェーズで書き出した自社と競合するサービスと比較して、自社のサービスが優れている部分(競合優位性)を下記のように書き出しましょう。
- 目標の標準進捗管理ができる
- UIが営業組織に特化しているため構築工数が少ない
- 標準ダッシュボードが見やすいため現場レベルでアクセス・使用しやすい
- 国産のサービスである
- CSのサポートが手厚い
- 営業領域に特化しているのでアクションに落としやすいデータを可視化できる
- 必要最低限の機能でユーザーが使用しやすい
- 営業現場での操作性が高い
- ボトルネックの可視化
- グラフではなく数字で可視化できる
- ダッシュボード側から編集できる
- 開発改善のスピードが早い
- KPI管理についての知見があると思われている
- 無限にデータを掘り下げて分析することができる
- 導入直後から使える状態になっている
- 自社で設定する際の難易度が低いため形骸化しにくい など
ただし、ここでは競合優位性を確認するだけにとどめます。
これでひと通りカスタマーパスをつくることができました。
今度はこのカスタマーパスをもとに、お客様の状況・状態を見極めながら、
営業がどのようなアクションをすると、お客様が自社サービスを購入するという最終的な意思決定をしていただけるのかを考えていきます。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
いかがでしたか。
本記事では、カスタマーパスの下記のフェーズの設計方法について解説しました。
- 課題解決に向けた戦略の決定
- 戦略実現に向けた戦術の候補決定
- 戦術実行の意思決定
「課題解決に向けた戦略の決定」のフェーズでは、お客様が最優先で取り組みたいと考えている課題を解決するには、自社のサービスが役に立ちそうであるということを順を追って証明していきます。
特に、自社で提供しているサービス領域で解決できる顧客課題を明らかにすることができれば、お客様に受注していただける確立がぐっと高まります。
そして、「課題解決に向けた戦略の決定」では競合の特徴をすべて洗い出し、
「戦術実行の意思決定」の際にその情報をもとに競合優位性を確認しましょう。
本記事が営業活動の仕組み化の一助になれば幸いです。
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